クレアシンガポール事務所では、2022年10月から11月にかけて、ABCクッキングスタジオ(以下「ABC社」)と連携して、日本の地方の食材の魅力を伝える料理教室をシンガポールとタイ(バンコク)で開催し、それぞれ、日本から3自治体ずつが参加しました。
1.事業概要
2017年以来、6年目の開催となった本事業は、自治体等からPRしたい食材を提供いただき、ABC社がその食材を活かすレシピを考案して、現地消費者向けに料理教室を行うものです。現地消費者に調理・試食を通して日本が誇る食材の魅力を実感してもらうことで、食材の購入やSNS等での情報拡散に繋げ、自治体等の販路拡大を支援することを目的としています。また、食材が提供された地方の観光情報を参加者に提供することで、自治体等の魅力が多面的に伝わることも期待しています。
2.料理教室の概要
料理教室は、1テーブルあたり最大4人の生徒と1人のインストラクターという形式で2~4週間実施されました。PR食材については、水産加工品、麺類、アルコール類など、多岐にわたる材料を採用し、各食材の魅力を効果的に引き出すレシピをABC社が考案しました。現地に商流がある食材はABC社が直接小売店等から調達し、現地に商流がないものについては参加自治体と連携し日本から輸入調達しました。
レッスン期間中は、インフルエンサーや地元メディアを招聘し、レッスンの様子やPR食材等について広く発信する機会を設けました。また、各会場で自治体PR動画の上映や、自治体のグッズ・観光パンフレットの配付など、物産だけでなく観光も含めた地方の魅力発信を行ったほか、自治体が事前に用意した質問事項について参加者にアンケートを行いました。
(1)シンガポール実施分
期間 |
2022年10月17日~31日(平日の計11日間) |
会場 |
ABC Cooking Takashimaya Studio(1会場) |
参加者 |
122名 |
参加自治体・PR食材 |
静岡県(抹茶)、福井県(米粉、越前鍋味噌)、大阪府(大阪府産デラウェアを使ったワイン) |
メニュー |
鶏のから揚げ、抹茶ベルギーワッフル、さつまいもの甘露、きのこの味噌クリーム煮、マロントライフル、大阪府産デラウェアを使ったワイン |
(レッスン告知チラシ) (インフルエンサーのSNS投稿)
(2)タイ実施分
期間 |
2022年11月1日~30日(土日含む計30日間) |
会場 |
ABC Cooking Central World Studio/Central Eastville Studio(2会場) |
参加者 |
78名 |
参加自治体・PR食材 |
福井県(越前鍋味噌、干し赤がれい)、兵庫県(揖保乃糸)、富山県(氷見うどん) |
メニュー |
鍋味噌うどん、干し赤がれい南蛮と揚げそうめん、つゆそうめん |
(レッスン告知チラシ) (インフルエンサーのSNS投稿)
3.実施結果
(1)シンガポール実施分
シンガポールにおけるレッスンは、当初定員120名のところ122名に参加いただき大盛況でした。
アンケートによると、きのこの味噌クリーム煮について、「越前鍋味噌がきのこの風味を引き出している」「味噌を加えることで味がユニークになる」などのコメントとともに77%の参加者が「とても好き」と回答しました。
また、抹茶については参加者の36%が「抹茶ラテなどの飲み物」、34%が「ケーキなどのデザート」のために抹茶を消費すると回答しており、純粋に抹茶を楽しむ割合17%と比べて高いという興味深い結果でした。
大阪府産デラウェアを使ったワインについては、半分以上の参加者が「大阪府がワインやぶどうの産地と知らなかった」と答えた一方、8割以上がその味に「とても満足した」「満足した」と回答しました。
このように、いずれの食材についても、参加者からは非常に前向きな反応が寄せられました。
(2)タイ実施分
タイにおけるレッスンは、当初定員80名に対して78名に参加いただき、当地における日本食の人気を再認識する結果となりました。
アンケートでは、参加者の76%以上が「そうめんを知っていた」「そうめんを食べたことがあった」と回答しており、同食材が既に当地で相当程度浸透していることが分かりました。さらに、今回使用した揖保乃糸について、「カノムチーン(タイの米粉麺、そうめんに似ている)と同等以上に美味しかった」「また揖保乃糸を食べたい」と答えた参加者は9割を超え、潜在的ニーズの高さが示されました。
同じ麺類の氷見うどんについても、参加者の半数以上が「購入して普段の食事にも取り入れたい」と答えました。氷見うどんは既に現地の日系スーパーで販売されているため、この料理教室がさらなる販路拡大に繋がると期待されます。同時に、78%の参加者から「今回の料理教室を通じて富山県に行ってみたいと思った」との声が聞かれ、本事業を通して自治体の魅力が多面的にPRされていることを実感しました。
また、干し赤がれいについては、当初はかれいそのものが当地であまり知られていないという懸念があったものの、参加者の93%が「美味しいからまた食べたい」と回答しており、今後の販路拡大に向けて大きな可能性を示す結果となりました。
クレアシンガポール事務所では、東南アジアをはじめとする所管国において日本の地方の魅力を伝えるべく、今後も多様な方法で継続的な支援に取り組んでまいります。