クレアでは、2021年12月2日(木)から3日(金)にかけて、タイのナコーンパノム県自治体の依頼に基づき、自治体国際協力専門家派遣事業を実施しました。
当事業は、海外の自治体などの行政資質と技術力の向上、人材の育成に資するとともに、日本の地方自治体と海外の地方自治体との友好協力関係を強化するため、日本の自治体職員を現地に派遣し、講義や実技を通して日本の地方自治体が持つ行政のノウハウを伝えるものです。本来であれば実地で実施しますが、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、今回はオンラインの座学講義形式で実施しました。
タイの東北部に位置する同自治体は農業が主な産業であり、面積の6割が農耕地で全世帯のうち約46%の世帯が農業に従事していますが、現地の農業従事者は「農作物の販売市場が限られているため仲介業者によって農作物が買い叩かれること」や「持続可能な農業の導入」等の課題に直面しています。このような背景から、同自治体から農業分野に関する専門家の派遣要請があり、有機農業等の専門家である山形県職員OBを派遣しました。
今回の事業では、同自治体が直面している課題を踏まえ、現地の農業従事者等30名を対象に生産者が農作物の販売価格を決定することができる日本の「直売所」を紹介するとともに、持続可能な農業である「有機農業」の認証制度、考え方及び実践方法について講義を行いました。
(講義内容)
①直売所運営のポイント
②有機農産物の認証
③有機農業技術の考え方
④有機農業技術の実践(畑作)
⑤多様な水田雑草防除技術
今回の事業はオンラインの座学講義形式のため、現場視察や直接の指導ができない中での実施となりましたが、講義では参加者からの質問が相次ぎ、直売所や有機農業についての興味や関心の高さを感じ取ることができました。特に、有機農業については、現地ですでに実践している農業従事者から様々な質問が寄せられ、専門家から具体的なアドバイスを受けていました。今回の専門家派遣を契機に、同自治体の農業が一層発展することを願っています。
クレアでは、アセアン各国及びインド・スリランカの自治体の要請を受けて、農業、環境、都市計画などの32分野で、日本の自治体から専門家の派遣を実施しています。当事業は海外の自治体への知識や技術の伝達だけではなく、日本の自治体にとってもアジア諸国との有意義な情報交換の場及び将来の交流のきっかけとなります。また、海外に対する自治体PRにもつながりますので、自治体の皆様におかれましては、今後とも当事業へのご協力をお願い申し上げます。