1.『Food Japan 2022』について
3年ぶりのリアル開催となる日本食の総合見本市「Food Japan 2022」が、10月13日(木)14日(金)の2日間、サンテック・シンガポール国際会議展示場で開催され、日本(24都道府県)およびシンガポールから101社が出展しました。
日本の自治体からは、山口県、鹿児島県、兵庫県姫路市などが出展し、初日から来場者との間で活発な商談が行われました。クレアシンガポール事務所では、自治体の出展ブースにおいて運営支援を行いました。会場には、現地レストランシェフやホテル関係者等が多く来場し、商品を実際に試食・試飲し、商流の有無や価格などを細かに確認する場面が数多く見られました。期間を通じて、具体的な商談成立が複数みられるなど、バーチャルとは異なるリアル開催の強みを目の当たりにしました。
また、今回は初の試みとして、東京で開催中の海外経済セミナー(当事務所主催)と「Food Japan 2022」の会場を中継で結び、日本にいる視聴者に会場の雰囲気を体感してもらうという新企画が行われ、Food Japan 2022の主催者である株式会社おいしいJAPANの西田代表と山口県職員へのインタビューが生中継されました。
2.自治体ブースの様子
(1)県内の地域産業資源を活かした製品のプロモーション(山口県)
山口県及び(公財)やまぐち産業振興財団では、海外展開を行う県内中小企業を積極的に支援しており、2019年まで5年連続で同イベントに出展してきました。コロナ禍による中断が2年連続で続き、実に3年振りのブース出展となりました。
イベントに先立つ7月1日、山口県は県内中小企業のASEAN地域等に向けた海外販路開拓を支援する「山口県海外ビジネスサポートデスク」をシンガポール国内に設置、同サポートデスクが出展予定企業・現地ディストリビューター間で事前マッチングを行うなど、イベント出展前に綿密な準備を重ねてきました。
山口県のブースには、冷凍カキフライ、辛子明太子、日本酒、健康茶をそれぞれ扱う計4社が出展し、上記サポートデスクも現地で支援に当たりました。
(2)鹿児島和牛、かごしま黒豚のプロモーション(鹿児島県食肉輸出促進協議会:鹿児島県事務局)
鹿児島県食肉輸出促進協議会(事務局:鹿児島県)は、鹿児島黒牛(英名:KAGOSHIMA WAGYU)及びかごしま黒豚(英名:KAGOSHIMA KUROBUTA)をPRするためにブースを出展し、和牛のカット実演や、それぞれを試食してもらう等の工夫を凝らしたことにより、周囲一帯が非常に賑わっていました。
また、今回、5年に1度開催される全国和牛能力共進会(和牛の改良を競う全国大会)が10月上旬に鹿児島県で開催され、鹿児島黒牛が内閣総理大臣賞及び農林水産大臣賞を受賞したことをPRしたことで、多くの来場者の鹿児島黒牛に対する興味関心を高めた印象を受けました。
また、来星した鹿児島県職員は、本県の農畜産物の輸出拡大を図るために,農畜産物の流通に関わる事業者等を訪問・視察し,現地の各流通段階(輸入・卸・小売・ユーザー等)におけるニーズやトレンドについて情報収集や意見交換を行いました。
(3)日本酒、播磨灘のカキやお菓子等のプロモーション(兵庫県姫路市)
兵庫県姫路市は、「はりまの酒」の酒蔵である本田商店や壺坂酒造のほか、常盤堂製菓(かりんとう)、アリモト(有機玄米を使ったせんべい)や播磨灘(生ガキ)と共同ブースを出展しました。また、このほか、田中酒造場、播州乾麺輸出拡大協議会やヤマサ蒲鉾もブースを出展しており、周囲一帯が姫路ストリートのようになっており、非常に賑わっていました。
姫路市を含む22市町の播磨地域では、日本一の酒造好適米である山田錦を育くむ恵まれた風土や気候を有しており、日本酒のふるさととしての歴史、長年培われてきた特色ある生産方法が国から評価され、 日本酒の地理的表示“GIはりま”に指定されています。
今回出展した日本酒も厳しい基準をクリアした“GIはりま”の日本酒であることをPRするとともに世界遺産である姫路城の魅力も伝えるなど、地域の魅力も併せて効果的に発信しました。
3.所感
今回の出展を通じて、シンガポール国内における日本食材のプレゼンスが健在であること、出展前の下準備(出展戦略、現地ディストリビューターとの事前調整など)が極めて重要であること、の2点を痛感しました。特に、出展前の下準備を行うためには現地の最新情報と人的ネットワークを網羅する必要があり、現地駐在のサポートデスク等が果たす役割は大きいと感じました。
(仲谷調査役 兵庫県派遣)
(白石所長補佐 山口県派遣)
(新原所長補佐 鹿児島県派遣)