11月11日(金)から13日(日)の3日間の日程で、山口県知事及び山口県議会訪問調査団によって構成されたミッション団がシンガポールを訪問され、当事務所が同行支援を行いました。
今回の訪星ミッションは、各国の新型コロナウイルスに係る水際対策が緩和傾向にある状況を踏まえ、同県が「インバウンド需要の重点5市場」と位置付けるASEAN地域のハブであるシンガポールにおいて、地元県人会と連携した情報発信会の開催や同団体との交流活動を行うほか、現地関係機関との意見交換等の実施を通じて、アフターコロナを見据えた今後の施策推進や交流活動の拡大等に向けた環境整備を図ることを目的として行われました。
■山口県海外ビジネスサポートデスクの現地視察
同県では、県内中小企業のASEAN地域等に向けた海外販路開拓の支援を目的に、本年7月に「山口県海外ビジネスサポートデスク」をシンガポール中心部に設置しており、海外ビジネス展開に関する豊富な知見や、幅広いネットワーク等を有する専門家による情報収集・市場調査、取引先企業の発掘・紹介等の支援を行っています。今回の視察では、県産製品の同国内での評価や、今後のプロモーションの方向性等についてブリーフィングがなされ、県内中小企業の海外展開支援が着実に進んでいることを確認しました。
■在シンガポール日本国大使館・高橋公使との意見交換
その後、クレアシンガポール事務所に場所を移し、在シンガポール日本国大使館・高橋公使をお招きしての意見交換に臨みました。
公使からは、アフターコロナを見据えたシンガポール政府の動き、農水産物をはじめとする日本産品の同国内でのプロモーション等に関する概況説明があり、直近のトピックスとして、大使館ほか関係機関の働きかけが功を奏し、日本国内で流通している養殖フグの白子、皮、ヒレといった部位のシンガポール向け輸出が今夏から解禁された点などが報告されました。訪問団からは、フグや日本酒といった県産品の売り込みなどの質問が相次ぎ、活発な意見交換の場となりました。
■クレアシンガポール事務所及び日本政府観光局(JNTO)によるブリーフィング
続いて、当事務所及びJNTOから「シンガポール全般概況」「インバウンド市場動向」について、それぞれブリーフィングを実施しました。
ブリーフィング後の質疑応答では、「シンガポールの一人当たりGDPの急拡大(日本の約1.8倍)をもたらした政府の経済政策のポイント」のほか、「シンガポール国民の高い訪日意欲をどのようにして地方部への訪問促進につなげるか」といった点を中心に、闊達な意見交換が行われました。
■山口県の「食」と「観光」の魅力を伝える情報発信会の開催
ブリーフィング後、会場を市内ホテルに移して「やまぐちの魅力情報発信会」が開催されました。山口県の「食」と「観光」の魅力を知事自らプレゼンし、山口県を代表する食材である「ふぐ」や「日本酒」などのほか、世界的に知名度の高い「角島大橋」「元乃隅神社」に加えて、「錦帯橋」や「秋芳洞」など多数の美しい観光地がPRされ、参加者が食い入るように見入っていました。
特に、日本酒は同県が誇る名産の一つですが、知事から「①コロナ禍以前まで日本で唯一、12年連続で日本酒出荷量を伸ばしていたこと」、「②海外への輸出数量が直近5年で約3倍に増加していること」が発表されると、日本酒に関心の高い参加者が熱心にメモを取る様子が見受けられ、同国内で日本酒が持つ高いプレゼンスを改めて確認しました。
プレゼン終了後、五つ星ホテルシェフによって創作された「ふぐ」「車海老」「山口茶」などの県産食材を使った4品のフレンチメニューを参加者が試食する場が設けられ、参加者からの高い評価につながりました。イベント終了後、早くも参加者から県産食材の問合せがあるなど、今回の情報発信の成果が早速みられています。
■シンガポール山口県人会との意見交換会の開催
情報発信会の後、会場を日本人会館に移し、シンガポール山口県人会との意見交換会が開催されました。コロナ禍以降、世界各国に21か所設立されている在外県人会との対面での交流が中断されてきたところ、今回の訪星により、2019年以降3年振りに在外県人会との対面交流が再開されたことになります。
参加者はコロナ禍以降の久々の対面での再会を喜ぶとともに、ふるさとへの熱い想いが語られるなど、アフターコロナを見据えた対面での活動再開に大きな手応えを感じた様子でした。交流会の最後には、同県のASEAN地域の国際交流・経済交流の推進に向けて、県と県人会が相互協力していく旨の共同声明が大きな拍手とともに発出されました。
~支援後の所感~
今回の訪星ミッションでは、関係機関や県人会との意見交換を通じて、ASEAN地域との経済交流・人的交流の重要性が再確認されるとともに、トップセールスによる同県の魅力発信に関する確かな手がかりが得られるなどの成果が見られています。今後、シンガポールを含むASEAN地域における同県のプレゼンス向上に向けた各種施策が、戦略的に継続して展開されることが重要と感じました。
(白石所長補佐 山口県派遣)