2022年10月10日(月)から14日(金)まで、インドネシアのジョグジャカルタ特別州で専門家派遣事業を実施しました。専門家派遣事業は、海外の自治体などの行政資質と技術力の向上、人材の育成に資するとともに、日本の地方自治体と海外の地方自治体との友好協力関係を強化するため、日本の自治体職員を現地に派遣し、講義や実技を通して日本の地方自治体が持つ行政のノウハウを伝える事業です。今回の専門家派遣事業では長野県からブドウ栽培の専門家として、長野県農業試験場 研究員の佐藤正明氏をジョグジャカルタ特別州へ派遣しました。なお、ジョグジャカルタ特別州で専門家派遣事業を実施するのは、2017年度に続いて2度目となります。(※2017年度実施時の事業報告書:https://www.clair.org.sg/j/specialist/201712-idn-specialist_dispatch_project_2017/)
1 ジョグジャカルタ特別州の概要
ジョグジャカルタ特別州はジャワ島中部南岸に位置する州で人口は約360万人、ともに世界文化遺産に登録されているボロブドゥール寺院遺跡群、プランバナン寺院群を目指して世界中から多くの観光客が訪れる都市です。
2 ジョグジャカルタ特別州の狙い
事業実施にあたって、ジョグジャカルタ特別州農業局のスゲン局長は、「ジョグジャカルタ州政府は農業の物流、種の普及や農業観光を主力分野として力を注いでいる。今回の事業ではハウスのデザイン改良、産品の加工技術に関する指導が実施され、現場視察もある。ブドウ栽培における農家の知識が増すこと、栽培方法が改善すること、ブドウの品質が向上することを期待している。」と話していました。
3 専門家の指導
事業にはジョグジャカルタ特別州農業局の職員、ジョグジャカルタ特別州の農業関係者等25人が参加しました。専門家は、午前は会議室で講義を行い、午後は参加者と共にブドウ栽培を行っている現場を訪問して、実地指導を行いました。専門家は、ジョグジャカルタ特別州で栽培されているブドウは、育成の段階でブドウの数を減らすことが重要と話しました。育成する実を減らすことでより甘いブドウを育成できるとのことです。専門家は実際にはさみを使って、ブドウの枝や実を切る実技指導なども行いました。
4 まとめ
専門家は5日間の指導の総括として、ブドウの品質、生産量だけではなく、ブドウの形などマーケティングに繋がる要素にも気を配ることが重要であると述べました。今回の指導を契機として、ジョグジャカルタ産のブドウがブランドを確立していくことを期待しているとして、事業を締めくくりました。
事業の執行に立会い、当事業は海外の自治体への知識や技術の伝達だけではなく、日本の自治体にとってもアジア諸国との有意義な情報交換の場及び将来の交流のきっかけとなることを再認識しました。今後も本事業が多くの自治体の皆様に活用されるよう努めてまいります。