2023 年 1月 17 日( 火) 及び 31 日( 火) に 、 マレーシアのクアラルンプール市の依頼に基づき、自治体国際協力専門家派遣事業を実施しました。
1 自治体国際協力専門家派遣事業とは
当事業は、海外の自治体などの行政資質と技術力の向上、人材の育成に資するとともに、日本の地方自治体と海外の地方自治体との友好協力関係を強化するため、日本の自治体職員を現地に派遣し、講義や実技を通して日本の地方自治体が持つ行政のノウハウを伝えるものです。本来であれば実地で実施しますが、 クアラルンプール市からの多くの専門家派遣依頼に 1 件でも多く応えるために 、今回はオンラインの座学講義形式で 4 件 実施しました。
2 クアラルンプール市からの依頼概要
①市民参画
都市開発を順調に実行できるよう、市民参画を促す効果的な方法を知りたい。
(専門家:東京都三鷹市都市整備部緑と公園課 角間 裕氏)
➁ 公的スポーツ施設管理
市内の公的スポーツ施設の 運営 改善及び イベント誘致 強化 等を目指し ているため 、スポーツ施設の運営・管理に関する知識・経験・ノウハウを共有して欲しい。
(専門家: 福岡県福岡市住宅都市局公園部運営課 岳元 歩氏)
③ 苦情管理
各部局での苦情処理作業の重複や煩雑な調整 により効率的な業務が行えていないため、苦情処理のスキームを改善し、市民の満足度を向上させるノウハウ が知りたい。
(専門家:京都市総合企画局市長公室 課 藤原 宏樹氏)
(専門家:京都市建設局土木管理部土木管理課 石塚 強氏)
④広報
市民向けの広報活動や情報開示の不足を課題としているため、情報の効果的な発信方法や市民と意見交換できるスキームについて、知識・経験を共有して欲しい。
(専門家:京都市総合企画局市長公室 課 藤原 宏樹氏)
3 専門家による講義の様子
事業には クアラルンプール市の各関連部局職員 が、それぞれの講義にオンラインで 参加しました。 ① 市民参画では三鷹市のまちづくり協議会「マチコエ」の取組 、 ➁ 公的スポーツ施設管理では福岡市の東平尾公園での指定管理者制度の取組、③苦情管理では京都市の総合案内コールセンター や 道路等の
損傷箇所通報アプリ「みっけ隊」 の取組 、④広報では京都市のパブリックコメントの取組等の事例を紹介するとともに、そのノウハウについて講義を行いました。
4 まとめ
今回の事業はオンラインの座学講義形式のため、現場視察や直接の指導ができない中での実施となりましたが、各講義には 50人~100人の関係職員が参加し、熱心に専門家の指心に専門家の指導に耳を傾けていました。講義の質疑応答セッションは1時間を予定していましたが、多くの講義で予定時間をオーバーする等、クアラルンプール市の本事業への関心の高さを感じることができました。また、専門家及びクアラルンプール市職員の双方からお互いの自治体を訪問してみたいという声もありました。
クレアでは、アセアン各国及びインド・スリランカの自治体の要請を受けて、農業、環境、都市計画などの32分野で、日本の自治体から専門家の派遣を実施しています。当事業は海外の自治体への知識や技術の伝達だけではなく、日本の自治体にとってもアジア諸国との有意義な情報交換の場及び将来の交流のきっかけとなります。また、海外に対する自治体PRにもつながりますので、自治体の皆様におかれましては、今後とも当事業へのご協力をお願い申し上げます。