クレアシンガポール事務所では、「日本のアニメや漫画に興味がある若者」を新たなターゲットに、アフターコロナにおける新たな訪日客獲得を目指し、「アニメや漫画等を活用した自治体の観光PR動画」を作成し、AFA(Anime Festival Asia)のオンラインプラットフォーム「AFA Station TV」において配信しました。
AFAは、Anime Festival Asiaの略で、東南アジア最大級の日本のポップカルチャーイベントです。昨年度は「C3」(キャラクターイベント)との共同開催で「C3AFA」としてシンガポールで3日間にわたり開催され、国内外から計12万人を動員しました。今年度は、同イベントが開催されなかったため、AFAのオンラインプラットフォーム「AFA Station TV」に参加し、クレアシンガポール事務所で作成した約25分の動画を放送しました。「AFA Station TV」は2021年3月6日(土)20時から放送され、総再生回数6,024回、最大同時視聴者数619名、国別ではシンガポールからの視聴者が最多で、次いでインドネシア、マレーシアが続きました。3月27日(土)以降は、AFAのYouTubeチャンネルにおいて一般公開されています。
「AFA Station TV」オープニングの様子
小山市、鹿児島県、秩父市、群馬県、新潟市が持つ、アニメや漫画に関した地域の紹介動画や画像を組み合わせ、さらにバーチャルYouTuberとMCを起用し、クレアシンガポール事務所で1本の自治体PR動画を作成しました。小山市と鹿児島県は、新海誠監督の映画「秒速5センチメートル」に関する内容でコラボレーション企画とし、秩父市はアニメ三部作「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(2011 年)」、「心が叫びたがってるんだ。(2015 年)」、「空の青さを知る人よ(2019 年)」の舞台として、三部作を巡るパンフレットや限定グッズなどの情報も盛り込み紹介しました。群馬県は、シンガポールも舞台となっている「宇宙(そら)よりも遠い場所」に登場する館林市を中心に、アニメの聖地とその周辺の観光地について紹介し、新潟市は、新潟駅から徒歩15分の場所に位置する、2つの施設「マンガの家」「マンガ・アニメ情報館」を、外国人観光客目線で体験している様子を中心に紹介しました。作成した動画は、クイズ形式や、「上越新幹線沿い聖地ツアー」など様々な内容で構成されています。
バーチャルYouTuber(左・中央)とMC(右) 「上越新幹線沿い聖地ツアー」の様子
動画放送中は、チャット機能を利用し視聴者から、「ここに行ってみたい!」「そこに行ったことがある」などと言ったコメントがリアルタイムで多く寄せられました。アニメの登場シーンと実際の観光地を比較し紹介した場面に対しては、「本物の舞台があったとは知らなかった」といった反応も多く見られました。また、バーチャルYouTuberとMCを起用し紹介したことで、バーチャルYouTuberのファンの方からも多く視聴してもらうことができ、幅広い層に日本の観光地をPRすることができました。
バーチャルYouTuberとMCによる各地の紹介
放送後、SNSを活用し「あなたが日本を旅行するパターンで当てはまるものはどれですか?(複数回答可)」というアンケートを実施した結果、102名からの回答を得ました。回答結果は、「アニメ聖地巡り」71.5%、「 アニメに関する観光地訪問」65.6%、インスタ映え写真の撮影」53.9%、「食事を楽しむ」89.2%、「地元の人との交流」35.2%、「買い物」68.6%、「文化、歴史の体験」74.5%、「その他(イベント参加等)」11.7%でした。これらから、視聴者は、日本を訪問する際、アニメに関連した場所のみに興味があるのではなく、食事や文化・歴史体験なども楽しみたいと考えている人が多いということがわかりました。
シンガポールにおける2020年の統計データ(※)によると、シンガポール人の好きな旅行先ランキング第1位は日本(36.1%)であり、第2位のEU(17.7%)に大きく差をつけました。さらに回答者の75%は次の訪日に向けた情報収集を開始しており、訪問希望地域も日本全国へ分散し始めているとのことでした。「アニメや漫画」をインバウンド促進の一つの切り口として、それに興味がある人に向けて、日本各地の食や観光施設、文化・歴史体験などを継続的にPRしていくことも有効だと言えます。
今後もクレアシンガポール事務所では、アニメや漫画等を活用したインバウンド促進に取り組んでいきたいと思います。
※出典:”Seah, S. et al., The State of Southeast Asia: 2021” (Singapore: ISEAS-Yusof Ishak Institute, 2021)、「日本政府観光局(JNTO)オンラインイベント視聴者アンケート調査 」(2020.10実施)