2015年5月22日(金)から23日(土)までインドの地方行政研究機関であるAIILSG(All India Institute of Local Self-Government)が主催する「The 2nd South Asian Cities Summit 2015(於デリー)」に参加してきました。自治体国際化協会シンガポール事務所(CLAIR)は、会議内のパネルディスカッション(テーマ:Empowering Local Governments)において、日本の自治体の概要やCLAIR事業を紹介する講演を行いました。
AIILSGは、インドの地方行政について調査・研究を行う機関で、自治体を支援するための各種事業も実施しています。主にインド自治体職員等の実務者が参加できるセミナーや研修等の実施に加えて、国連や国際支援機関、NGOとの連携による会議やシンポジウムの開催もしており、国際的に地域の課題や解決法の共有を図っています。
AIILSGが主催する会議で、2013年の第1回会議に続き、今回が第2回目になります。
今回は「Smart and Sustainable City」をテーマに国内外の政治家(大臣、首長等)や有識者が、都市の経済発展を推進しつつ市民の生活環境を維持改善するために、いかに効果的・効率的な公共サービスを提供するかについて、講演や意見交換が行われました。主な参加者はインドやスリランカ・ネパール等の周辺国の市長や行政関係者で、欧米からも学者や研究・支援機関代表者も出席していました。
今回、当事務所はこの会議において講演を行い、日本の地方行政制度に関することや、CLAIRが実施している専門家派遣、海外自治体幹部協力交流セミナー等の事業の説明を行いました。講演後には、参加しているインドの首長や行政関係者から、数多く質問や意見交換を求められるなど、欧米や日本の取り組みに高い関心を持たれていることが分かりました。
インドでは、郊外から都市への人口流入が急激に進行しており、20年前は都市に住む人口がインド全体の10%に過ぎませんでしたが、現在では30%にも達しています。都市人口の増加により、インドではごみや下水処理、都市交通などの多様な問題が起こっています。たとえばゴミ処理については、都市から出るゴミの量が増え続けるため、これを最終処分するための埋め立て場が不足していたり(リサイクル率の低さや急激な経済発展も要因)、また、人口増に伴う車所有台数の増加により、都市地域での道路の渋滞も問題になっています。他にも公衆衛生、上下水道、エネルギーといった分野に多くの課題が挙げられます。今回の会議では、こういった課題を解決するためには、インド国外を含む各都市が効果的な取組や先進的な技術をお互いに共有することが重要であるとの意見が相次ぎました。
これまで日本は都市化・工業化の歴史を通して、現在のインドと同様な問題を抱えてきましたが、それらを克服してきた実績があり、現在の日本の社会システムは海外から一定の評価を受けているところです。
こういった分野に関して、日本の自治体は行政サービスの最前線として実務的なノウハウ・技術を持っています。それらを必要とするインドやASEANの各都市と共有することにより、今後、さらなる都市間交流を推進することができるのではないでしょうか。
(加藤所長補佐 北九州市派遣)