インドネシアの地方自治体にはイノベーションが求められており、彼らは他国の成功事例から学ぼうとしています。
2015年9月7日(月)、8日(火)の2日間にわたり日本国総務省とインドネシア国家行政院の共催による「日本-インドネシア地方行政セミナー」がジャカルタで開催され、地方自治体における行財政改革の進め方をテーマに発表や意見交換が行われました。
総務省は1999年から東南アジア各国の協力を得て、地方行政職員を対象に当該国が抱える課題・関心事項をテーマに講演や意見交換を行う「地方行政セミナー」を実施しています。インドネシアでは3回目となります。シンガポール事務所は、総務省とインドネシア関係機関との間の連絡調整及び当日の運営支援を行いました。
インドネシアでは1900年代初頭から今日に至るまで分権化に関する法律が多く制定されています。今回のセミナーの発表で興味深かったのは、2014年に制定された法律の内容です。その法律には、各自治体によるイノベーションの実施が明記され、自治体はイノベーションの方策を模索しなければならなくなりました。そのため、日本による発表はイノベーションの参考となる成功事例として参加者に受け止められ、日本の経験から積極的に学びたいとの発言が多数寄せられました。
最後に行われた両国代表者による意見交換では、いかにして日本の成功事例をインドネシアの事情に照らし合わせて適用していくかが議論されました。日本側からは、国の設計力・地方の実行力・住民の理解の重要性を説明するとともに、可能性の大きさとしてのインドネシアに期待したい旨の発言がありました。インドネシアと日本における地方分権や行財政改革のプロセスなどは異なりますが、両国の違いを整理した上で日本の事例がインドネシアの地方行政にどのように役立てられていくのか、インドネシアの地方自治体の今後の取り組みが期待されます。
シンガポール事務所では、今後も国際会議の参加や運営支援に携わり、両国の自治体の交流促進に貢献してまいります。
なお、今回のセミナーの報告内容や講演資料については以下の総務省自治行政局国際室のホームページでご確認いただけます。ご参照ください。
URL:http://www.soumu.go.jp/kokusai/kyoryoku_asia_h27_indonesia.html
■「日本-インドネシア地方行政セミナー」開催概要
会期 | 2015年9月7日(月)~9月8日(火) | |
開催場所 | インドネシア国家行政院(インドネシア・ジャカルタ) | |
主催 | 日本:総務省
インドネシア:インドネシア国家行政院(Local Government Academy) |
|
参加者 | 9月7日(月):115名 9月8日(火):90名 | |
実施日 | プログラム | 内 容 |
9月7日(月) | 開会式 | ・インドネシア共和国国家斉唱及びお祈り ・インドネシア側代表者挨拶 国家行政院長官代理 アディ・スリアント ・日本側代表者挨拶 総務省大臣官房総括審議官 稲山 博司 ・インドネシア側基調演説(※省職員による代読) 村落・後進地域開発・移住省大臣 マルワン・ジャファル ・来賓挨拶 |
Lecture1
(日本) |
テーマ:日本の地方公共団体における行財政改革の必要性
総務省大臣官房総括審議官 稲山 博司 |
|
Lecture2
(インドネシア) |
テーマ:統治システム、地方自治体予算と公共サービス
内務省地域業績評価・能力構築課長 グナワン |
|
Lecture3
(日本) |
テーマ:奈良県における歳入・歳出管理の取組
奈良県総務部財政課課長補佐 春木 智博 |
|
Lecture4
(インドネシア) |
テーマ:村がインドネシアを建設する 村落法における開発の展望と実際的変化
村落・後進地域開発・移住省事務次官 アンワル・サヌーシ |
|
レセプション | ||
9月8日(火) | Lecture5
(日本) |
テーマ:相模原市における企業立地等に係るワンストップサービス等の取組について
相模原市環境経済局経済部産業政策課副主幹 野月 卓 |
意見交換
(パネルディスカッション) |
・モデレーター
国家行政院行政大学院学長 マクドゥム・プリヤットノ ・パネリスト(日本側) 総務省大臣官房総括審議官 稲山 博司 ・パネリスト(インドネシア側) 国家行政院長官代理 トリ・ウィドト |
|
閉 会 |
(小暮所長補佐 東京都派遣)