クレアシンガポールの橋本憲次郎所長が2016年5月6日(金)から7日(土)にかけて、インドの地方行政研究機関であるオールインディア自治体協会(AIILSG: All India Institute of Local Self-Government)が主催する「The 3rd South Asian Cities Summit (於デリー)」に登壇し、日本の自治体の住民参加について発表を行いました。
発表では、阪神淡路大震災後に多数のボランティアが活躍したことを契機にNPO法が成立したことやボランティア活動などの労力の提供による「時間の寄附」という考え方に触れたうえで、どの国や地域においても、今後の行政の執行にあたっては、一方的に行政がサービスを提供しようとするのではなく、ボランティアの活躍の促進や中間団体の育成を図ることにより住民参加を促していくことが重要であることを紹介しました。
質疑応答の部では、ネパールの参加者から、ネパールでの地震被災経験を踏まえボランティアの重要性に賛同したうえで、ボランティア同士の連帯の方策について質問が出ました。これに対し、ボランティア等の個人の活動と自治体をつなぐ中間団体の重要性を紹介しました。最後に、進行役がハイレベルのボランティアリズムが新しいリーダーシップにつながる旨の総括を行いました。さらに、セッション後に所長が取材を受けるなど、わが国の先進的な事例に対して大いに関心が集まりました。
2013年、2015年に引き続き、3回目の開催となる今回は、当事務所以外にインド国内の行政関係者をはじめ、中国(広州市)、インドネシア(ジャカルタ特別州、ジャンビ市)、モルディブ(マレー市)、ニュージーランド(ヘイスティング市)、韓国(大田広域市)などの都市代表者や、国連開発計画バングラデシュ事務所やNGOなどの団体も発表を行いました。このように、国際会議では二国間に限らず、多数の国々との交流が可能となることから、交流の幅を多面的に広げる格好の機会となります。実際、セッションの合間などで、南アジアの行政関係者のみならず、東アジアや東南アジアの参加者と意見交換を行うことができました。
国際会議などにおける事例発表は、日本の自治体の優良事例を海外へ情報発信するために有益な手段であると言えます。今後、多くの日本の自治体が国際会議で先進事例を発表し、国際社会にPRしていくことが期待されます。
(小暮所長補佐 東京都派遣)