シンガポール事務所では、フィリピン大学ロス・バニョス校(University of the Philippines Los Baños)において、日本の地方自治セミナーを開催しました。
このセミナーは今後の日本・フィリピン間の地方自治体の交流の可能性を探るとともに、職員の派遣元自治体での特徴的な事業などのプレゼンテーションやディスカッションを通して、日比相互の行政システムへの理解を深めること及び当事務所職員の英語能力や国際的感覚の習得を目的としています。
今回のセミナーを開催したフィリピン大学ロス・バニョス校は、マニラの南南東約70km、車で約2時間の場所にあります。9学部からなる同校には、全体で約15,000名の学生が在籍しており、学長を含め約200名の日本への留学経験者がいます。同校では日本との交流を積極的に進めており、現在、年間に約30~50名の学生を交換留学生として東京農業大学へ送っているなか、これまでに多数の日本の大学と提携し(神戸大学、長崎大学、京都大学など)、日本の大学生向けの英語研修コースを提供しています。また、校内には名古屋大学のサテライトキャンパスや日本の公園も設置されています。
今回のセミナーには同校から経済経営学部の学生18名と教授・講師約10名の方に参加していただきました。また、参加学生とは別に約30名の学生がプレゼンテーションを聴講しました。
当事務所の職員4名がそれぞれの派遣元での実例をもとにした「コミュニティベースの災害リスク軽減」、「桜島との共生」、「熟練した技能を通した地域経済の活性化」、「地域ブランドの紹介」をテーマに、一人15分の持ち時間で、各自が作成した資料により英語でのプレゼンテーションを行いました。参加者はメモを取ったり、スクリーンに映し出された資料をスマホで撮影したりするなど、真剣な様子で聴講していました。
ディスカッションでは、職員が発表したプレゼンテーションの内容を中心に、発表者の派遣元自治体や日本全体の現状などについて、英語で意見交換をしました。
学生からの意見や質問に対して、職員も自らの知識や経験を踏まえて熱心に説明したほか、学生からフィリピンにおける現状も聞くことができ、日比間での相互理解を深めることができました。
セミナー終了後に学生に実施したアンケートの結果によると、参加者のほぼ全員がプレゼンテーションおよびグループディスカッションについて「満足」と回答しており、入念な準備が奏功しました。また、参加した職員からは、プレゼンテーションの準備から発表に至るまでのプロセスと、当日のディスカッションを通して、自分自身の英語能力の向上を実感したという感想が聞かれました。
今回の大学セミナーの実施にあたり、大学側からは惜しみない協力と温かい歓迎を受けました。事前準備の段階から綿密な打ち合わせができ、当日はトラブルなく開催することができました。また、大学到着後、学長室において学長から直接歓迎を受け、セミナー終了後には伝統料理を振舞っていただきました。日本との交流を積極的に進めている同大学ですが、クレアとも引き続き交流を深めていきたいとのことでした。
シンガポール事務所ではこのような活動を通して、今後もASEAN及びインドの地方自治関係機関との新たなネットワークの構築・強化に取り組み、日本の自治体の海外活動をサポートするとともに、職員の語学力向上と国際感覚の習得を図ってまいります。
(堀部所長補佐 山口県萩市派遣)