シンガポール政府は2024年4月16日、3者作業部会(※1Tripartite Workgroup )
による柔軟な働き方に関するガイドライン(Tripartite Guidelines on Flexible
Work Arrangement (※2FWA) Requests)に係る10の勧告を承認しました。従業員が
会社でも自宅でも最善を尽くし、能力を最大限生かせる包括的かつ生産的な職場を
作ることを3者のビジョンとしています。そのためには、柔軟な働き方が重要ですが、
これには雇用主と従業員の信頼とコミュニケーションが必須であることから、ガイ
ドラインは従業員が雇用主に柔軟な働き方を要求するための方法や、雇用主がどの
ように要求に対応するかを示しています。
例えば、従業員がFWAを要求すると雇用主は適切に考慮し2ヵ月以内に従業員と話
し合ったうえで、要求を却下する場合は代替案を示すことが推奨されています。ガ
イドラインには、却下理由として不合理となる例の記載等もあるほか、添付資料と
して従業員が正式な FWA リクエストを提出するためのテンプレートや、雇用主が回
答するテンプレートの掲載もあります。
なお、本ガイドラインの対象となるのは中小企業を含む全ての雇用主と従業員で
あり、2024年12月1日から有効となることから、引き続きシンガポールにおける柔軟
な働き方に関する状況を注視していきたいです。
(※1)人材開発省(Ministry of Manpower)、全国労働組合会議(National Trades Union Congress)、全国雇用者連盟(Singapore National Employers Federation)の3者で構成される。
(※2)ガイドライン内で、FWAは大きく1FLEXI-PLACE(オフィス以外の場所での勤務等)、2FLEXI-TIME(フレックスタイム制、時差勤務等)、3FLEXI-LOAD(ジョブシェアリング、パートタイム等)の3つのカテゴリーに分かれるとされている。
シンガポール事務所 所長補佐 大辻 麻梨乃
<参考文献・引用文献>
・人材開発省ウェブサイト:
https://www.mom.gov.sg/newsroom/press-releases/2024/0416-launch-of-tripartite-guidelines-on-fwa-requests-and-tripartite-workgroup-report