Pets’ Day Out(PDO(直訳:ペットとお出かけの日))は、シンガポール国家開発省に設置された国家公園庁内にある「動物、獣医サービスクラスター動物獣医局 (AVS:Animal & Veterinary Service Cluster)」が公園等で開催しているイベントです。
PDOは2019年に初めて開催されて以来、ペットの飼い主、獣医師、動物愛護団体など多くの個人・団体が参加し、ペットに関連する重要なプラットフォームとなっています。
2024年5月に開催されたPDOの会場では、ペット関連の幅広い業種の方々がブースを出展していました。ペットフードやアクセサリーなどのペット関連商品を販売するブースが並び、子どもたちが、トリマー・トレーナー・獣医などペット業界の職業を体験できるワークショップや獣医によるペットの無料健康診断、ペットの里親募集活動などが実施されています。
PDOは、子どもから大人まで楽しめるイベントであるとともに、ペットや参加者同士の触れ合いを通して、コミュニティの活性化にも寄与していると考えられます。
筆者も実際に会場を訪れましたが、ペットを連れた方同士で会話をしている場面を良く目にしました。
また、PDOは飼い主や住民へ、ペットに関する情報を周知する役割を果たしているとも感じました。
シンガポール政府は、HDB(国民の約8割が住む公営住宅)で猫の飼育を禁止していましたが、動物愛護団体や猫の飼い主の声に応えて、2022年に公開アンケート調査を、そして2023年に猫の飼育に係る骨子案を作成し意見公募を実施しました。この骨子案は2024年後半に完成し、発足する見込みです。
今回のPDOでは、現段階の骨子案で猫の飼育要件の一つであるマイクロチップの埋め込みが無料で行われていました。
筆者は赴任直後、ほとんどの国民が集合住宅に住むシンガポールでペットをどのように飼っているのか気になっていましたが、飼い主が住宅に入る前に犬の足をタオル等で拭く様子や、エレベーターで犬を抱きかかえている場面など、集合住宅ならではの配慮を見ることが多くありました。
PDOの継続的な開催は、多くの人がペットに関する理解を深める機会となり、ペット、飼い主、そして住民が暮らしやすい社会づくりの一助となっているかもしれません。
(シンガポール事務所所長補佐 宮田 啓)