2016年10月に参加12か国でTPP(環太平洋経済連携協定)が大筋で合意されましたが、東南アジア諸国で は昨年末にAEC(ASEAN経済共同体)が発足しました。ASEAN(東南アジア諸国連合)域内の単一市場・生産基地を目指すAECでは、既にブルネイ・フィリピン・インドネシア・マレーシア・シンガポール・タイの6か国で、原則すべての品目の関税撤廃が実現しており、残るベトナム・カンボジア・ラオス・ミャンマーの4か国でも、2018年までに関税が原則撤廃さ れる見込みとなっています。しかし、歴史・文化・民族・政治体制・人口・人口密度などで多様性があり、経済的にもGDPや一人当たりGDPで大きな差のあるASEAN諸国では、経済統合に向けた課題も残っています。2015年末までに実現ができなかった課題については、今後10年間のビジョン「AECブループリント2025」 をもとに、貿易・投資・金融・人材等で高度に統合された経済に向け、引き続き各国で取り組まれます。また、TPPに関しては、ASEAN諸国のうち、ブルネイ、マレーシア、シンガポール、ベトナムが既 に参加しており、フィリピン、インドネシア、タイでも参加の検討がなされています。AECの発足や今後のTPPへの参加で、ASEAN各国の経済発展が進み、市場アクセスやサプライチェーンの広がりで、日本の各地域とASEAN諸国との関係にさらに深まることが期待されます。
(シンガポール事務所 徳永調査役)