インドネシアは村落行政に関する法律を制定(2014年)し、村落行政強化に向 けて大きな一歩を踏み出しました。 村に強い自治権と多くの予算を配分することで、村行政体を強化し、コミュニ ティ開発と住民へのサービスの向上を実現することがこの法律に明示されてい ます。これを受けて、村は従来の自治コミュニティとして存続するか、新たに行政単位となるかを選択することが可能となりました。
あわせて、中央政府にも変化がありました。それまで内務省が村落開発に関する全ての分野を所管していましたが、村落コ ミュニティ・エンパワーメントや村落地域開発などは、新設(2015年)された 村落・後進地域開発・移住省に移管されました。村落行政(ガバナンス)については現在も内務省が所管しています。
また、開発資金として中央政府から村に配賦される「村落ファンド」が新設されました。これによって、行政体になる選択をした村は、強い自治権と財源を手に入れる こととなりますが、それらを有効に活用する行政能力の不足が懸念されています。
村の開発については、村のニーズを取りまとめ、村中期開発計画と年次計画を 作成することが求められています。 計画策定の担い手となる人材育成が急務であるため、現在、中央政府や県など の地方政府は村職員対象の研修実施などに注力しています。
インドネシアの地方分権という観点から、村がどのように発展していくか、今 後の動向が期待されます。
(シンガポール事務所 小暮所長補佐)