シンガポールでは、車両数の増加に制限をかけるため、1990年から車両割当 制度(Vehicle Quota System)を導入し、車両の新規登録許可数を定めていま す。また、車両購入権(Certificate of Entitlement)を入札によって決められた価格で取得することも必要で、輸入関税・消費税・登録料等を含めると、車両購入総額は市場価格の5倍程度にもなります。
一方、公共交通機関は、都市型高速鉄道であるMRT(Mass Rapid Transit System)をはじめバス路線も全土に張り巡らされており、新たな路線や車両も 整備・導入され続けています。公共交通機関の運賃は、日本と比べて安価です が、朝のラッシュ時の混雑緩和対策としてMRTの早朝運賃無料・割引サービスも実施しています。また、自動車の使用量を減らすため、公共交通機関だけでなく徒歩・自転車の利用も促進されており、政府の計画では2030年までに総延長700kmの自転車 専用道を整備することとしています。なお、安全を確保するため、歩道や自転車専用道路の利用に関するルールづくりも検討されています。
(シンガポール事務所 徳永調査役)