日本に限らずシンガポールでも少子高齢化・晩婚化が社会問題としてとらえられており、政府が率先してその対策に対して取り組んでいます。とりわけ「婚活支援」、「住宅支援」、「出産支援」、「保育・養育支援」、「ワーク・ライフ・ハーモニー支援」の5つの重点項目を包括的に含んだ結婚・育児支援パッケージというプログラムが注目されています。
婚活支援プログラムは、政府系団体の「社会開発ネットワーク」(Social Development Network、「SDN」)により提供されており、SDNのウェブサイトでは出会いの場である夕食会やダンスパーティなどの様々なデートイベントが告知されている他、多種多様なデートマニュアルまで公開されています。なんと、2013年に実施された合コンイベントには485人もの男女が参加し、合コン参加者数の世界記録を更新しました。
さらに、政府は、民間の結婚紹介所に上限5万ドル(約40万円)や結婚準備のためのプログラムに参加したカップルに70ドル(約5,700円)を補助しています。
このほか、住宅支援プログラムは、国民の9割が住むHDB(公団住宅)の申し込み制度に結婚を促進するインセンティブが盛り込まれています。結婚するあるいはしている方が新築の良い物件に優先的に申し込めるなど、有利な住宅供給を受けられる制度設計となっています。
シンガポール政府が2014年に実施した調査では「未婚者への婚活支援を国が実施すべきか」という質問に対して、肯定的な回答が約 9 割を占めました。現在の結婚・育児支援パッケージが家庭を持ち、子育てしやすい環境づくりに貢献したことに8割が賛成しており、政府の婚活支援は国民に支持されていることが裏付けられています。
(シンガポール事務所所長補佐 堀江)