文部科学省が実施した、「平成26年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」における「いじめ」に関する調査結果」によると、小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は188,057件と前年度より2,254件も増加しています。日本では、いじめは大きな社会問題のひとつですが、ASEANでも同様です。そのため、今回はシンガポールのいじめ対策についてご紹介します。
シンガポールではネットいじめが増えており、2012年のMicrosoft社による調査によると、シンガポールでは、被害者になった経験のある人が中国に次いで2番目に高い割合となっています。また、Touch Cyber Wellnessが3,000人の中学生と1,900人の小学生を対象に調査を行ったところ、中学生の4人に1人はネットいじめをし、中学生の3人に1人、小学生の5人に1人はネットいじめに遭ったことがあるとの結果が出ました。
このような状況を受けて、シンガポール政府では、ネットいじめへの対策を講じています。教育省(Ministry of Education)では、10~14歳の子どもを持つ親向けに、ゲーム形式で選択式の質問に答えるアプリを提供しています。このアプリを使って親子で一緒にゲーム感覚で質問に答えていくことで、ネット上のルールについて会話する機会を増やし、親が子どもの考えを知ったり、子どもに対しネット上のルールについて教えたりする機会になっています。
また、シンガポールでは「いじめは犯罪とみなす」という強い姿勢も見せています。2014年には現実生活のみでなくネット上でのいじめや嫌がらせも取り締まるハラスメント防止法(Protection from Harassment Act)が施行され、違反者には5,000シンガポールドル(約40万円)以下の罰金か禁固刑または両方が科せられることとなりました。
急速に発達したネット社会の中で、日本もシンガポールも抱える問題は同じであり、いじめへの対策は相互に学び合えるところがあるのではないでしょうか。
(シンガポール事務所所長補佐 弓指)