つい先日、某航空サービス調査会社が1999年から毎年調査をしている「世界の空港ランキング100(World Airport Award)」が発表され、シンガポールのチャンギ空港が5年連続で「世界最高の空港」に選ばれました。この調査は空港利用者の満足度を計るためのもので、空港の清潔さ、レストランや土産店の充実、効率的な管理運営などが高く評価された結果といえます。
チャンギ空港はご存知のとおり、24時間営業であり、世界のハブ空港として、最高ランクのサービスを提供し続けています。空港内には、映画館や子供が遊ぶことのできる施設、居心地の良い数多くのソファーやフットマッサージ器、十分な数のコンセントが完備され、驚くことに、ここに列挙したものは全て無料となっており、有料のサービスとなれば、枚挙に暇がありません。
特筆すべきサービスとしては、乗り継ぎ時間が一定時間以上ある空港利用者を対象とした、市内ツアーの提供があります。マーライオン公園やガーデンズバイザベイなどの主要スポットを回るツアーが用意されており、空港で申し込み、無料で参加することができます。
また、他にも、乗り継ぎ先のテーマパークの入場チケットを現地よりも安く販売するサービスを利用することもできます。例えば、オーストラリアの「ワーナー・ブロス・ムービー・ワールド」のチケットは通常90シンガポールドル(以下、「ドル」。1ドル約80円)のところを79ドルで購入でき、また「東京ディズニーランド」のチケットは通常より9ドル安く、93ドルで購入することができます。
こういったサービスを提供することで、チャンギ空港は空港利用者の空港における快適さだけを追求するのではなく、ハブ空港としての利便性を向上することに注力しているといえるでしょう。
また今年初めに、チャンギ空港は約40億円もの運営改善計画を発表しました。
5年間にわたるこの計画は、ロボット、データ分析、消費分析などのテクノロジーを駆使するものであり、計画には、ロボットに空港の清掃などを代行させ、どれだけ空港スタッフの数を減らせるか試すものや、空港利用者の習性や好みを分析し、空港内小売店の売り上げを上昇させるよう、分析結果を扱う商品の内容に反映させるものなどが含まれています。
革新や新しいビジネスを生み出すテクノロジー業界のシステムを活性化させることは、経済企業庁(Economic Development Board)の目的とも合致するため、チャンギ空港は経済企業庁と覚書を締結しました。今後、どのようなテクノロジーを駆使したサービスが生み出されるのか期待されるところです。
(シンガポール事務所所長補佐 朽網)