日本では安価で楽しめ種類も多い庶民の味方の「焼酎」ですが、そんな焼酎が、シンガポールでは信じられないくらい高価です。
シンガポールではお酒が全般的に高いですが、なかでも焼酎は日本での安さを考えるとその度合いが群を抜いています。その理由は、シンガポールの度数課税が非常にシビアであるためです。シンガポールに焼酎を輸入する場合、「物品税」という税金が課税されます。その計算方法は、「内容量(l)×88シンガポールドル×アルコール度数(%)」であるため、アルコール度数の高い焼酎は非常にコストのかかる酒類となり、小売価格がどうしても高くなってしまうのです。日系スーパーの場合、720mlの焼酎に約12.5シンガポールドル(約1,300円)の物品税が課税され、輸送コストや品質管理コストを加えると、だいたい50シンガポールドル(約4,000円)程度と、日本の約4倍の価格で販売されています。
日本財務省貿易統計によると、2015年度の日本シンガポールの焼酎輸出額は約92,000千円であり、震災の影響を受け数字が落ち込んだ2011年の約91,250千円から微増という、売れないということはないものの、なかなか厳しい結果となっています。
実は、シンガポールでの焼酎の主要な消費者は在留している日本人です。シンガポール人は日本酒の方を好む傾向にあり、焼酎の知名度はまだまだ低いといえます。
ジェトロが発表した2012年度の「シンガポール日本食品消費動向調査」によると、売れ筋の銘柄は、麦焼酎「いいちこ」のようです。芋焼酎「黒霧島」なども流通量が多いようですが、麦焼酎の味の方が現地の消費者には受け入れられやすいようです。また、比較的早くから進出している銘柄が、人気銘柄になっている傾向がみられます。
「焼酎」をシンガポールでさらに浸透させるには、シンガポール人の嗜好に合わせた商品開発、また魅力をアピールする場や宣伝機会の創出などが必要であると思われます。
クレアシンガポール事務所では販路開拓に関する情報収集や活動支援を行っております。ぜひご活用ください。
(シンガポール事務所所長補佐 川崎)