ここシンガポールでは、日本と同様に少子化が深刻な社会問題となっています。近年の両国の合計特殊出生率を見てみると、日本が1.44に対してシンガポールは1.20とさらに低い水準で推移しています。
この状況にシンガポール政府も危機感を持っており、解決策のひとつとして、2017年1月に男性の有給育児休暇を1週間から2週間に延長する制度の拡充が図られました。日本でも男性の育児休暇制度がありますが、取得率が3.16%と低調なのに対し、シンガポールでは取得率が約40%を超える高水準であることに驚かされました。
育児に対する考え方は日本と大きく異なっています。
日本では、食事の準備や洗濯、掃除などの「家事」と子供のお世話をする「育児」を夫婦で役割分担して行うケースが多いですが、共働き世帯の割合が84%と高いシンガポールにおいては、このような「家事」や「育児」を専門的に行う外国人メイドを雇っているケースが多く、今では5世帯に1世帯の割合で外国人メイドが雇用されています。
シンガポールでは、子供と遊ぶことも「育児」と捉え、そのための時間を多く確保するため、仕事の時間をやりくりしているとのことでした。
このように、背景にある生活習慣や育児に対する考え方は日本とシンガポールでは大きく異なっていますが、少子化を食い止める対策が必要であるという意味では両国共通しています。制度の拡充などの整備は必要ですが、私は「育児」に協力できていなかった自分自身への反省を含め、これからは、ひとつでもできることから「育児」に参加していきたいと思います。
(シンガポール事務所所長補佐 古谷)