シンガポールは1965年にマレーシア連邦から分離独立して以降、国家主導型の産業インフラ整備や外資導入制度を続けてきた結果、2016年には1人あたりGDP が世界第10位(日本は世界第22位)という急速な経済発展を遂げてきました。その一方で、食料供給の大半を輸入に依存しています。国内自給率が比較的高 い品目である鶏卵が約24%、葉野菜約13%、魚約10%という数字を見ても、そのことがお分かりいただけると思います。
また、シンガポールでは近年、糖尿病が大きな問題となっています。国際糖尿 病連合の調査によると、シンガポール人(20~79歳)の糖尿病り患率は10.53 %で、先進国の中でアメリカ合衆国に次いで2番目の高水準となっています。
その原因の一つに、シンガポール人は甘いものが好きであることが考えられま す。日本人からすると驚くような甘い緑茶や紅茶、コーヒーがカフェなどで売 られており、出勤時間帯にはそれらを買い求める客で毎日長い行列ができてい ます。さらに、外食文化が根付いているため、街中には5シンガポールドル程 度(約400円)で食事のできるところが数多くあります。毎食外食という人もおり、日本と比べて野菜を摂る量も少ないように見受けられます。
そのため、シンガポール政府は国民が健康に留意するようCMを放送したり、2017年には糖尿病対策アクションプランの策定を計画したりするなど、糖尿病予防対策を強化しており、それに伴ってシンガポール国民の健康に対する意識 も高まりを見せています。
また、今年、シンガポールの首相施政方針演説(National Day Rally)では、将来の繁栄に向けて取り組むべき3つの重要課題の中に糖尿病対策が提示され、今後ますます政府が力を入れて取り組む姿勢が示されました。
今後シンガポールがどのような対策を取っていくのか、注視していきます。
(シンガポール事務所所長補佐 弓指)