海外にある県人会をご存知でしょうか。郷土から遠く離れた地で同じ郷土の人と親睦を深め、郷土の発展に寄与するために活動しており、ここシンガポールにも数多くの県人会が存在しています。今回は、県人会で培ったネットワークを生かした効果的な観光PRの手法をご紹介します。
私の出身地である宮城県仙台市には「すずめ踊り」という郷土芸能があり、毎年5月に開催される「仙台・青葉祭り」など様々なイベントで披露されています。今年4月にシンガポールの一大観光スポット「ガーデンバイザベイ」で開催されたイベントですずめ踊りを披露したことをきっかけに、宮城県にゆかりがある方を中心としたすずめ踊りチームが結成されました。
私もチームの一員として参加しておりチーム結成から半年で、ガーデンバイザ ベイの他に、ナショナルスタジアムでの日本人会夏祭りやインドネシアでの日本インドネシア国交樹立60周年記念イベントで踊る機会をいただきました。ステージパフォーマンスの構成にあたっては、長年東南アジアに在住しているメンバーのアイディアで踊り手と観客が一緒に踊る「総踊り」を必ず入れるよう工夫しました。
会場の反応は、嬉しいことに全てのイベントにおいて大盛り上がり。特にインドネシアではアンコールをいただくほどの反響でした。これは、悲しいとき辛いとき、どんな時でも歌を歌って踊るというインドネシアの国民性をチームのメンバーがよく知っており、それを上手く捉えたステージ構成に出来たからこそのものです。また、ステージイベントの後、多くの方から日本のどこでこの踊りが見られるのかという問い合わせも多くいただく等、体験型にすることで言葉だけでは伝えられない地域の魅力を存分にPR出来ることを肌で感じました。
日本全国津々浦々たくさんの魅力があふれている中、独自性を出して地域をPR することがなかなか難しい状況にあります。そのような状況だからこそ、現地の方の心のつかみどころを知っている海外在住の同じ郷土の方たちといかに連携できるかが大きなカギになってくるのではないでしょうか。
シンガポール事務所 所長補佐 倉田