シンガポーリアンは共働きが多く、三食すべてを外食で済ませてしまう家庭が 多いのですが、実は自炊をする方も少なくありません。ではどこから食材を入手するのでしょうか。大まかに、日系スーパー、ローカル系スーパー、食材専門店そしてマーケットに分類できます。
スーパーでは、日系でもローカル系でも、ほとんどの食材が揃っていますが、 輸入品が多く、必ずしも同じものがいつも店頭に並んでいるとは限りません。また、価格も安定しないことが多々あります。同じ商品でも種類は非常に多く、 例えば牛乳では、低温殺菌と高温殺菌、常温保存と低温保存、味付きと味無し等、日本では見られない商品も数多く並んでいます。伊勢丹等の日系スーパーでは、日本の野菜や調味料などがほぼ揃うため、安心して日本と変わりない料理を作ることができますが、価格は日本の2倍前後です。一方、ローカルスーパーは「価格設定が高めで、主に駐在員向けのスーパー」と「価格の安いローカル向けのスーパー」に分類されますが、日系スーパーに比べればいずれも安価となっています。
食材専門店は、肉、オーガニック食品等の宝庫です。輸入大国シンガポールでは、世界中の食材を手に入れることが可能です。肉専門店では、豊富な種類の肉をグラム単位から購入可能で、真空パックサービスもあります。価格も安く、イタリアンレストランで出される同じ肉が半額で買えるので、イタリア料理が大好きな私の強い味方となっています。
最後に、「シンガポール国民の台所」といわれているマーケットを紹介します。生鮮食品が多く、水をかけて床を洗い流すことから「ウェットマーケット」と呼ばれています。肉、魚、野菜、果物などが安価に揃う市場であり、その他にも乾物や生花、場所によっては好みの香辛料を調合してくれるお店もあります。 肉類は、鶏肉、豚肉、マトンのほか、剥いた状態のカエルも並んでいます。籠に入れた生きたカエルを隣に置く陳列は独特のマーケティング戦略です。この他、シンガポール名物「フィッシュヘッドカレー」に使うのか、魚の頭がずらりと並べる陳列は見ているだけでも楽しめます。
購入方法ですが、価格は書いていないことがほとんどです。買い方によって値段が違うからです。例えばシンガポールでは骨のついたお肉が一般的ですが、その場で骨を取ってもらうようお願いしたり、好みの部位をその場でミンチに してもらったりと、楽しくコミュニケーションをしながら買物ができます。場所は、主にシンガポーリアンが居住するHDBという公営住宅付近にあり、早朝はローカルでとても賑わっています。大抵ホーカーと言われる衛生管理された屋台が併設されているので、そこでローカルフードを食べるなど、地元の雰囲気を味わうには最適です。
シンガポールにお越しになる際は、ローカル文化を楽しく、気軽に楽しめるマ ーケットに足を運び、独特な匂いと雰囲気を味わってください。
シンガポール事務所 所長補佐 松井