シンガポールでは6月1日に、職場閉鎖などを含む感染拡大防止のための遮断措置、通称サーキットブレーカーが終了し、今後段階的に規制が緩和される予定です。新型コロナ危機を国外で迎え不便なこともありますが、日本との対応の違いを感じる良い機会となっていますので、その一部をご紹介します。(具体的な措置の内容は文末のリンクを参照ください。)
◆情報に乗り遅れるな!
政策の決定・発表から適用されるまでの期間が短く、スピードは目を見張るものがあります。例えば、入国規制は発表の翌日23:59から適用、同居人以外との面会禁止などを含めた活動制限法案が審議中という記事を見たと思ったら可決され即日適用といった具合で、心の準備時間がありません。一方で住民へのマスク配布が発表から2日後には開始されるなど有難い面もあります。
◆やっぱり「Fine city(※1)」シンガポール
心の準備はもとより、違反すると法的に罰せられてしまうのがシンガポールです。ほんの一例ですが、外出時マスク着用義務違反は初犯S$300(約2万4,000円)、他者との安全な距離違反等はS$10,000(約80万円)以下の罰金もしくは6ヶ月以下の懲役が科せられます。すでに国民でも自宅待機命令違反で禁錮6週の有罪判決事例があり、われわれのような駐在員は就労ビザはく奪の可能性もあるので、より一層の注意が必要です。
◆感染ルート特定への情熱
警察が聞き込みや防犯カメラ映像の解析を担うなど、感染者の行動追跡調査に力が入っています。接触者追跡アプリの早期導入はもとより、最近では街中どこでも入口に設置されたQRコードを使って住民番号や電話番号を提出しなければ入れない徹底ぶりです。
◆政策は首相・閣僚自ら説明
重要な政策の発表時はTV やラジオを通じた首相の生放送スピーチがあります。現状、方針、理由などを聞き取りやすい英語で話され、われわれ外国人でも理解しやすいです(なお、首相自ら中国語とマレー語でも発表されます。)。終了後の個別説明及び取材は関係大臣が対応します。感染防止のため、会場のテレビ画面に在宅中の記者が順番に映って質問するという新たな取材の形もまた興味深いものでした。
当事務所HP上では「ASEAN・インド・スリランカの対応状況」を掲載しています。http://www.clair.org.sg/j/ (毎週月曜日更新)
詳細な感染者数を含むシンガポールの現状については政府保健省HPを参照ください。https://www.moh.gov.sg/covid-19 (英語)
(※1)Fineには「良い」のほかに「罰金」の意味があります。
シンガポール事務所所長補佐 白井