多民族、多宗教国家のシンガポールではお墓もバラエティ豊か。今回は筆者が参加した2か所のお墓めぐりについてレポートいたします!
1か所目は、シンガポールで唯一、操業を続けているチョアチューカン墓地。シンガポールにはかつていたるところに墓地がありましたが、限られた国土で土地を有効活用するために現在、新規の埋葬はこちらでしか行われていません。墓地は宗派ごとに整備されており、それぞれの宗派の特徴が色濃く表れています。亡くなられた方の遺影が墓石に埋め込まれたヒンズー教・中華系(仏教・道教)、十字架やマリア像が置かれたキリスト教、棺がメッカの方向に向けて整然と並ぶイスラム教、柵で囲われ関係者しか立ち入ることができないユダヤ人墓地区域など。日本の墓地と違い、あちらこちらで写真撮影をする人々や、ウォーキングを楽しむ人々が見受けられ、公園を散歩しているような感覚です。
2か所目は、シンガポール最古にして最大の華人墓地であるブキットブラウン墓地。リークアンユー初代首相の祖父をはじめ、多くの著名人が眠る由緒ある墓地の歴史を語り継ぐべく、ボランティアによる無料のお墓ガイドツアーが行われており、開催のアナウンスと同時に予約枠が埋まってしまうほどの大人気です。ツアーでは、埋葬されている方の歴史、デザイン性溢れる個性的な墓石について解説があり、それぞれの人生に思いを馳せました。
また、NPOのシンガポールヘリテージ協会(Singapore Heritage Society)では「ブキットブラウンウェイファインダー」(Bukit Brown Wayfinder)と呼ばれるブキットブラウン墓地のセルフガイドツアールートも作成しており、これを片手に自由散策する観光客の姿も多く見受けられました。
Bukit Brown Wayfinder HP: https://www.singaporeheritage.org/bukitbrownwayfinder/
これまで先祖のお墓参りでしか墓地を訪れることのなかった筆者にとって、シンガポールとお墓の関係性は新たな発見でした。百聞は一見に如かず、ぜひ皆さんも各国ならではの文化に飛び込んでみてください!
シンガポール事務所所長補佐 吉岡