2017年8月に開催された「Singapore Coffee Festival」では、90以上の出展者と約2万人の来場者が集まるなど、シンガポールのコーヒー熱を感じます。今回は、私がシンガポールで出会ったローカルコーヒー、「Kopi(コピ)」についてご紹介します。Kopiとはマレー語でCoffeeを意味し、お店(Kopitiam)で「Kopi」と頼むと濃いめのコーヒーにコンデンスミルクが入ったものが出てきます。シンガポールで緑茶を買うと砂糖やはちみつが入っていることがあるというのは結構有名な話で、コーヒーも「甘くて濃い」のがシンガポールの基本スタイルと言えるのかもしれません。フードコートやホーカー(屋台街)のドリンクコーナーには必ずと言っていいほどあり、独立したチェーン店も複数あるほどメジャーな飲み物です。メニュー表を見ると、「O」やC」とも書いてあり、「Kopi O」はミルクなし&砂糖入り、「Kopi C」はエバミルク(無糖練乳)&砂糖入りとなります。ちなみに、無糖のブラックコーヒーが飲みたい時は「Kopi O Kosong」と頼むことになります。なお、紅茶(Teh)も同様のオーダー方法でミルクや砂糖の有無を調節できます。このKopiと、ココナッツミルクと卵などを混ぜたカヤジャムを付けたKaya Toast、温泉卵をセットでいただくのが、シンガポールの朝食スタイルの1つで、実際朝早くから行列ができていることもしばしばです。よくよく観察してみると、作り方が意外と面白かったり、カップではなくビニール袋に入れてくれることもあったり、場所によってはKopiに紅茶を混ぜた香港式のドリンク「Yuanyang(鴛鴦)」も飲むことができたりと、色々と発見があります。
一方で、皆さんが想像する一般的なコーヒーも、もちろん至る所で飲むことができます。世界的なコーヒーチェーンも数多く進出しており、例えばアメリカ発祥のスターバックスの人口当たりの店舗数は世界第三位とも言われています。また、個性豊かなカフェも多く存在し、特にシンガポールの若者や在住外国人などで賑わっています。最近では古い建物をリノベーションしたカフェがトレンドの1つとなっています。例えば、「Chye Seng Huat Hardware」はシンガポールのコーヒーブームを牽引しているとも言われる人気のカフェ兼コーヒー豆販売店で、ここはその名のとおり元々金属製品を取り扱うお店があったそうです。また、「My Awesome Cafe」は元々診療所だった建物をリノベーションしたところで、漢字で書かれた診療所の名前の看板等はそのままにしており、そのインパクトも特徴の1つです。ほかにも、「Wheeler’s Yard」は自転車屋の倉庫を改装したお店で、インスタ映えスポットとして有名です。いずれも、一見するとカフェには見えない外観ですが、もともとの建物の雰囲気を残しつつ現代風にアレンジし、料理やお酒なども提供する心地よい空間となっています。
シンガポールにお越しの際には、シンガポールのコーヒー文化も楽しんでみてはいかがでしょうか。
シンガポール事務所 所長補佐 上谷