多民族、多宗教国家のシンガポールでは、それぞれが独自の伝統、慣習、習慣を守って暮らしており、様々なお祭りがほぼ毎月開催されるため、1つの都市にいながら数多くの文化に触れることができます。今回はその中から2つの催しについて紹介します。
1つ目は中国系の祝祭である中秋節(2021年は9月21日開催)です。中秋節の時期が近づきますと、チャイナタウンでは数多くの提灯の暖かい光がきらめきます。道路と道路の間には巨大な提灯も飾られ、特に展示の目玉である中国の月の女神を描いたものは12メートルもの高さであり、私も帰宅途中のバスの中からその光景を目にして、思わず別の世界に入り込んだような感動を覚えました。また、中秋節の目玉の1つとして月餅があげられます。この季節になると至る所で月餅が売り出され、普段は月餅が無いベーカリーの店頭でも販売されるほか、Grabなどのフードデリバリーでも月餅の広告を頻繁に目にし、積極的な販売攻勢に驚かされます。
2つ目は光の祭りとしても知られるヒンズー教徒の祝祭ディーパバリ(2021年は11月4日開催)です。中秋節が終わった頃より、リトルインディアでは蓮の花を模したイルミネーションなどのライトアップが始まり、中秋節とは趣の異なった眩い光に彩られます。私が10月中旬に様子を見に行った時でも、多くの買い物客やイルミネーションを撮影しようとする人で既に賑わっており、早くもお祭りの熱気を感じました。
これらのお祭りでは、オンラインでの活動も積極的に行われています。中秋節では360°のバーチャルツアー配信やオンラインでの月餅作りが体験でき、ディーパバリではTik Tokによるダンスチャレンジなどが実施されており、伝統行事を盛り上げるための様々な工夫がされています。
今回ご紹介したお祭り以外にも、数多くの宗教や文化による催しが、それぞれ共存しながら開催されています。このような催しを積極的に体験することで、文化的視野を広め、多様な信仰に対する知見も深めることができますので、皆さまもシンガポールに来られた際には、このような催しにぜひご参加ください!
シンガポール事務所 所長補佐 藤井(達)