シンガポールは、「Fine city」と呼ばれることがあります。「Fine」とは、「優れた、すばらしい」の意味のほか、「罰金」という意味もあります。その名の通り、シンガポールは禁止事項を明文化して罰金を設けることで有名であり、様々な罰金制度が導入されています。
元々、シンガポールでは、初代首相であるリー・クアンユーが「I believe that what a country needs to develop is discipline more than democracy.(国家の発展には民主主義より規律が必要と信じている)」と発言するなど、建国当初から規律が重要視されてきており、多くの罰則が導入されてきました。
具体的には、公共交通機関内での飲食(罰金500SGD(シンガポールドル)(約4万円))、他国の国旗を公共の場で掲揚すること(罰金500SGD(約4万円))、ごみのポイ捨て(罰金1,000SGD(約8万円))、野鳥への餌やり(罰金1,000SGD(約8万円))、国旗掲揚可能期間外の国旗の掲揚(罰金1,000SGD(約8万円))、公衆トイレで水を流さないこと(罰金1,000SGD(約8万円))、路上での泥酔(罰金1,000SGD(約8万円))、ガムの所持や持ち込み(罰金10,000SGD(約80万円))、自宅などで水たまりなどの蚊を発生させる環境をつくること(罰金10,000SGD(約80万円))など、数多くのユニークな罰則が導入されています。
また、このコロナ禍においても感染防止対策に関する罰則が導入されています。外出時のマスク着用義務違反(罰金300SGD(約2万4,000円))、隔離措置違反(罰金10,000SGD(約80万円))などが導入されていますが、特に、外出時のマスク着用義務違反については、昨年4月から今年1月末の期間で1,700件以上発生し、510,000SGD(約4,080万円)以上の罰金が科されました。
このように、様々な罰金制度が導入されていますが、文化や風習の異なる多数の民族が共存する多民族国家であるシンガポールでは、社会の秩序を保つためには罰金という明確で強制的な手段が必要なのでしょう。
ルールを守る限り、シンガポールは安全で清潔で生活しやすい「素晴らしい」国です。コロナ禍が収束した際には、是非「Fine city」シンガポールにお越しください!
※1SGD≒80円で換算
シンガポール事務所所長補佐 田中