多民族国家であるシンガポールは、学校教育で英語を第1言語とするなど、英語が広く使われ、暮らしの中で英会話が学べると思われがちですが、実際はそれ程単純ではありません。シンガポール人の話すシンガポール式英語(シングリッシュ)は、独特のアクセントや発音を持ち、中国語やマレー語、造語が混ざり聞き取りが難しいことに加え、買い物や飲食店の注文は限られた単語で成立するため、日常生活では英語で会話する機会は多くありません。そのため、英会話学習には、日本と同様にオンラインや通学で英会話学校を活用するのが一般的な方法となっていますが、ここでは、生活の中で英語を話す機会を増やす方法をご紹介します。
1つ目は、日本の公民館のような施設であるコミュニティクラブで開催されるスポーツ、料理、楽器演奏などの教室やカラオケ大会、バザーなどのイベントへの参加です。コミュニティクラブは現在、シンガポール国内で108か所に設置されており、地区外の住民や外国人も参加できます。(コミュニティクラブについて詳しくは、「CLAIRメールマガジンVol.233(2019年8月9日)」参照。)
2つ目は、共通の興味・関心を持つ者同士が実際に会い交流することを目的としたSNSの活用です。利用者は、ウェブ上で地域のスポーツや趣味などの集まりから気になったものに申込み、当日はカフェなどの指定場所に集合します。参加料は原則無料です。私はこれまで、「トレイルウォーキング」「飲茶バイキング」「英語の練習・おしゃべりクラブ」などに参加しましたが、多国籍な参加者との会話は英語の良い練習になり、個人的に会って話す友人もできました。
シンガポールでは、新型コロナウイルス感染者の増加により、5月半ばから再び感染拡大防止措置が強化され、公共の場での集まりは2人まで、飲食店での店内飲食は一律禁止となりました。国内の感染状況が落ち着いたら、交流を楽しみながらの英会話学習を再開したいと思います。
シンガポール事務所所長補佐 茂木