ASEAN諸国の中には世界最大のイスラム人口を有するインドネシアを始め、イスラム教を国教とするブルネイ、マレーシアなどムスリムの人口割合が多い国が多数あります。ラマダン=断食というイメージを持つ人も多いかと思いますが、実はラマダンはイスラムの暦の月の一つを意味しています。ラマダンはムスリムにとってもっとも神聖な期間であり、ムスリムの方々は欲望を抑え信仰心を深めるために、一切の飲食を断つ断食を行います。ただし、子どもや病人、妊婦の方たちは断食を行う必要はありません。ラマダンは1月強の長期間続きますが、断食といっても期間中完全に絶食するわけではありません。日中は水を飲むこともできませんが、日没から日の出までの間に一日分の食事を摂ります。日没後、断食が明けてから食べる食事のことをイフタールと呼び、普段よりも水分を多くした大麦粥であったり、ヤギのミルクを飲んだりします。
ラマダンはイスラムの暦の上で期間が決まるため、西暦においては毎年11日程度期間が変わることになります。2021年では4月12日から5月12日まででしたが、2022年においては4月1日から5月2日がラマダンに当たります。
ラマダンを過ごした後にはラマダンが明けたことを祝うお祭りが行われます。お祭りは国によってお祭りの名称が異なり、マレーシア、ブルネイ、シンガポールではハリ・ラヤ、インドネシアではレバランと呼ばれています。ラマダン明けのお祭りは、連日モスクで特別なお祈りが捧げられ、親戚や友人たちが集まり食卓を囲んで過ごします。2022年においては、バザールなども通常開催される予定です(4月中旬執筆)。2023年以降になりますが、是非ASEANの国を訪れて、ラマダン明けのお祭りにご参加ください。
シンガポール事務所 所長補佐 清水