シンガポールの国土面積は 約720 k㎡と、東京23区と比べて一回り大きい程度の広さです。「高層ビルがそびえる都市」というイメージがありますが、実は緑が国土の約3分の1を覆う「グリーン・シティ」でもあります。今回は、独立当初から持続的な環境維持を目指しているシンガポールにおいて、シンガポール政府が2021年2月に発表した環境行動計画 「シンガポール・グリーンプラン2030」 について、ご紹介します。
同プランは、持続可能な環境を整備して国民の暮らしを守ると同時に、環境に優しいエネルギー源を確保することを目的とした、2030年までに国を挙げて取り組むべき環境政策の包括的なプランです。(1)太陽光発電など環境に優しいエネルギー利用、(2)環境に関連した新たな産業(グリーンエコノミー)、雇用の創出、(3)街路樹の植樹拡大など都市の自然環境の改善、(4)二酸化炭素(CO2)の排出削減など持続可能な生活環境の整備、(5)未来の気候変動への対応の5つのテーマで構成されています。
各テーマごとに、2030年までに公団住宅地区のエネルギー消費を15%削減、自然公園の面積を2020年比で50%以上拡大、2030年までに自転車専用路を現在の全長460キロから約1,320キロに拡大、2030年までに食料自給率を栄養ベースで30%に引き上げる等の具体的な目標値が設定されています。
シンガポールのまちなかを歩いてみると、多くの建物で屋上や壁面に植栽が施されていたり、数多くの公園を見かけたりします。また、道路には高さの異なる様々な種類の植物が植えられており、より自然に近い街路樹にしているなど、発展する都市景観の中でも緑に触れられるような工夫が随所に見られます。当事務所では、引き続き、シンガポールの施策の動向を注視してまいります。
シンガポール事務所 所長補佐 新原