世界には多種多様な動物が存在し、なかには家族の一員として迎えられる動物もおり、特に犬や猫は大変身近な存在となっています。犬や猫に限らず、動物を飼うときには責任や覚悟が伴うとともに、守るべき法律や制度があります。今回はシンガポールにおける犬の飼育にかかる制度について紹介いたします。
シンガポールで犬を飼うためには、まず、政府からドッグライセンスを取得しなければなりません。1年間ライセンスの取得には、1匹につき15シンガポールドル(約1,500円)、去勢・避妊手術をしていない場合は90シンガポールドル(約9,000円)がかかります。
なお、ライセンスの取得・更新をしなかった場合は、最大で5,000シンガポールドル(約50万円)の罰金が科されます。(※1)
さらには、住居の種類によって飼育可能な頭数や犬種が決まっており、公団住宅(HDB)では1軒につき小型犬1匹まで、HDB以外のコンドミニアム等では基本的に1軒につき3匹までとされています。後者の住宅では大型犬を飼うこともできますが、犬種によっては賠償責任のある保険に加入する必要があります。(※1、2、3)
また、制度ではありませんが、多民族国家において必要な配慮も併せて紹介します。シンガポール人口の約15%を占めるマレー系に多いイスラム教徒にとっては、犬は教義上不浄とされているため、外出時には接触を避けるといった配慮が必要です。例えば、外出時にタクシーを利用する場合は、犬同伴専用タクシーがあるので、それを使うことになります。
このように、シンガポールで犬を飼育するには、さまざまな準備や確認、配慮が必要となりますが、犬の数は年々増加しているそうです。シンガポールでも日本でも、犬と散歩をするという風景は同じように見えていましたが、その背景を知ると、その国ならではの制度や配慮があり、大変興味深く感じました。
参照先
(※1)
https://www.nparks.gov.sg/avs/pets/owning-a-pet/licensing-a-pet/dog-licensing
(※2)
https://www.ana.co.jp/travelandlife/article/001248/
(※3)
https://singalife.com/category/65840/
(※4)
https://sva.org.sg/wp-content/uploads/2020/11/Singapore-Vax-Guidelines-version-final_FINAL.pdf
シンガポール事務所 所長補佐 木村