1965年に独立した当初のシンガポールは都市部の深刻な交通渋滞や非効率な交通インフラ網の問題を抱えていました。シンガポール政府は課題解決に向けて高速道路網や公共交通機関を整備するとともに、自動車所有権利証書の取得の義務化をはじめとしたさまざまな施策を実行しました。その結果、今日におけるシンガポールの陸上交通システムは非常に利便性の高いものになっています。今回は、陸上交通システムのうち、公共交通機関に焦点を当てて紹介いたします。
主要な公共交通機関としては、都市型高速鉄道(Mass Rapid Transit(MRT))、Light Rail Transit(LRT)、バスがあります。
まずMRTは、1987年に運行開始となった鉄道で、都市部では地下を、郊外では高架上を走っています。1980年代に中核となる2路線が整備されたのを皮切りに延線や新路線・新駅の増設が次々と行われ、現在では東京23区とほぼ同じ面積の国内に6路線(営業距離約200km)、140以上もの駅が設置されています。MRT網は島内全域に及び、MRTだけでもシンガポール国内のさまざまな場所に行くことが可能です。
次にLRTは、MRTとニュータウンを結ぶ支線の役割を担い、郊外在住者の足となっています。1999年に運行開始し、現在はBukit Panjang線(西中央部周辺)とSengkang線、Punggol線(北東部周辺)の3路線(営業距離約28km)が無人運転で運行されています。
そしてバスは、300以上もの路線がMRT網を補完するように島内全域に張り巡らされており、MRTでは行きにくい場所にもバスを利用すれば便利に移動することが可能です。
シンガポール政府は「陸上交通マスタープラン2040」の中で、移動時間の短縮を長期目標の一つとしており、目標達成に向けてMRTの新線開通や新駅の増設、バス専用レーンの導入などに取り組むことで今以上に利便性の高い公共交通システムの構築を目指しています。
シンガポール事務所 所長補佐 木村
(参考資料)
※1:National Library Board「MRT SYSTEM BEGINS OPERATIONS」
https://eresources.nlb.gov.sg/history/events/e926e24f-9c14-482b-b278-d582b535deb6
※2:Land Transport Authority「Rail Network」
https://www.lta.gov.sg/content/ltagov/en/getting_around/public_transport/rail_network.html
※3:Land Transport Authority「Bukit Panjang LRT」
https://www.lta.gov.sg/content/ltagov/en/getting_around/public_transport/rail_network/bukit_panjang_lrt.html
※4:Land Transport Authority「Sengkang-Punggol LRT」
https://www.lta.gov.sg/content/ltagov/en/getting_around/public_transport/rail_network/sengkang_punggol_lrt.html
※5:Land Transport Authority「Bus」
https://www.lta.gov.sg/content/ltagov/en/who_we_are/our_work/public_transport_system/bus.html