シンガポールでは現在、ベビーブーマーの世代が65歳以上の年齢層に入り始めてきており、高齢化が急速に進んでいます。シンガポール政府によれば2012年に11.1%であった高齢化率は、2022 年に18.4%まで上昇し、2030年には23.8%となるとされています。また、シンガポール保健省によると、現在60歳以上の10人に1人が認知症を患っており、2018年に約82,000人とされていた認知症患者は、2030年には152,000人に増加すると推定されています。
そのような中、2022年11月からシンガポールの認知症患者に対する福祉施策の1つとして、「Dementia Go-To Points(GTPs)」が開始されました。
GTPsに指定された場所は主に2つの役割を有しています。
(1)認知症に関する情報を提供する場所
(2)道に迷った認知症患者や高齢者を連れて行くことができる場所
GTPsの指定を受けている場所の1例として、シンガポール国内の大手スーパーマーケットチェーンの「FairPrice」と「Sheng Siong」があります。GTPsに指定されている店舗は合計200箇所以上あり、延べ1,000人を超えるスタッフが、認知症患者等を支援するための研修を受けています。
GTPsに指定された場所は、施設に掲示されているポスターやデジタルサイネージ等で確認することができます。「Dementia Go-To Point」と目を引く色合いで書かれていることに加え、イメージキャラクターのキリンの絵が描かれているので、非常に分かりやすくなっています。
シンガポールでは、急速な高齢化への対策として2023年1月に公開したアクションプラン「2023 ACTION PLAN FOR SUCCESSFUL AGEING」にも、認知症対策を主要な目的として明記し、予防、認知、早期発見や介護者の支援をするなど、認知症に対応できる社会を実現するための取り組みを進めています。
シンガポール事務所 所長補佐 宮田
(参考資料)
※1National Population and Talent Division
https://www.population.gov.
※2Ministry of Health Singapore「Your Guide to Understanding Dementia」
https://www.healthhub.sg/
※3Agency for Integrated Care
https://www.aic.sg/resources/
※4Ministry of Health Singapore「2023 ACTION PLAN FOR SUCCESSFUL AGEING」