シンガポールでは糖尿病が深刻な社会問題となっています。シンガポール保健省によると、シンガポールの糖尿病患者数は、対策を講じなければ2050年までに100万人に達すると見積もられています。
シンガポール人の1日の砂糖摂取量の半分以上は飲料から摂取しており、そのうち64%が包装済み飲料、残り36%が作りたて飲料(例:飲食店などでその場で作られる飲料)といわれています。
そこで、2022年12月30日からシンガポール保健省が行っている取組が「Nutri-Grade Mark」です。これは、飲料に含まれる糖分と飽和脂肪の分量に応じて飲料包装にマーク表示を義務付けるもので、次の4つに分類されます。
A:飲料100gあたり砂糖が1g以下かつ飽和脂肪が0.7g以下かつ甘味料が含まれていないもの。マークの色は濃い緑色で、表示の義務はなく、水などが分類される。
B:飲料100gあたり砂糖が1gから5g以下または飽和脂肪が0.7gから1.2g以下のもの。マークの色は薄い緑色で、表示の義務はなく、低脂肪牛乳などが分類される。
C:飲料100gあたり砂糖が5gから10g以下または飽和脂肪が1.2gから2.8g以下のもの。マークの色はオレンジ色で、表示の義務があり、スポーツドリンクなどが分類される。
D:飲料100gあたり砂糖が10g以上または飽和脂肪が2.8g以上のもの。マークの色は赤色で、表示の義務があり、ジュースの多くがDに分類される。また、広告宣伝も禁止。そのほか、いずれのグレードも飲料中のエネルギー値、タンパク質、炭水化物、総糖分、脂肪、飽和脂肪の量を示す栄養成分表示が義務付けられています。
さらに、作りたて飲料についても、2023年12月30日から店頭またはオンラインのメニュー上において「Nutri-Grade Mark」の表示が義務付けられます。
消費者が飲料を選択する際にマークを参照し、糖分等が少ない飲料を識別できるようなっており、砂糖摂取量の削減に向けた消費者行動を促すねらいが見て取れます。
シンガポールにお越しの際は飲料の包装に表示されているマークにも是非注目してください。
シンガポール事務所 所長補佐 辻
(参考資料)
※1:MOH「PUBLIC CONSULTATION ON MEASURES TO REDUCE SUGAR INTAKE FROM PRE-PACKAGED SUGAR-SWEETENED BEVERAGES」
https://www.moh.gov.sg/news-highlights/details/public-consultation-on-measures-to-reduce-sugar-intake-from-pre-packaged-sugar-sweetened-beverages
※2:HPB「MEASURES FOR NUTRI-GRADE BEVERAGES」
https://hpb.gov.sg/healthy-living/food-beverage/nutri-grade
※3:MOH「EXTENSION OF NUTRI-GRADE REQUIREMENTS TO FRESHLY PREPARED BEVERAGES FROM 30 DECEMBER 2023」
https://www.moh.gov.sg/news-highlights/details/extension-of-nutri-grade-requirements-to-freshly-prepared-beverages-from-30-december-2023