シンガポールの消費者物価指数は、2019年は前年同月比1%台で推移し、2020年にはマイナスになった月もありましたが、2021年はコロナ後の需要の回復を受けて急激に上昇し、2022年1月には前年同月比プラス4%を越え、同年9月にはプラス7.5%とピークとなりました。その後は徐々に落ち着いてきており、2023年11月は前年同月比プラス4.7%となっています。
日本と比べて高い状態が続いていますが、実際の足元の商品の販売価格はどうなのでしょうか。今回は、筆者が普段使いし、現地のシンガポーリアンも日常的に利用している現地資本のスーパーマーケットで販売されている特定のフルーツ(りんご、みかん、ぶどう、白桃、いちご)の同一・同量の商品について、2021年12月と2023年12月の価格を比較してみます。
情報については、あくまで筆者が売り場に出向いて収集したものであること、複数販売されている商品の中から取り出した一例であることから、実体経済を反映したものではありません。いち在住者の視点による生活情報であることをご理解ください。また、日本産の青果物は高級品の位置付けの商品が多いことから、今回は取り扱いません。日本円への換算レートは1シンガポールドル=110円(小数点未満切り捨て)で計算しています。
〇りんご
この時期30種類以上の商品が販売されており、産地も中国、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカと多様です。同産地・同量の商品を見てみると、オーストラリア産の5個パックの商品が、2021年12月にはS$6.8(748円)だったところ、S$7.85(863円)で販売されていました。同じく、中国産800gパックS$5(550円)だったところS$6.8(748円)、小ぶりながら4個パックS$2.6(286円)で販売されていた南アフリカ産の商品はS$4.2(462円)でした。
〇みかん
中国産1kgでS$9.0(990円)だった商品、オーストラリア産900gでS$7.9(869円)だった商品、スペイン産500gがS$3.9(429円)で販売されていた商品が、全て今回も同量・同額で販売されていました。商品の種類は10ほどで、りんごほど多様ではありません。
〇ぶどう
2021年12月と比べて同一商品がほとんどありませんでした。特に、産地はアメリカ産と南アフリカ産の2強だったところ、南アフリカ産の取り扱いが減少し、代わって中国産や韓国産が増加しています。価格は、アメリカ産種無し白ぶどう500gがS$6.0(660円)だったところがS$7.9(869円)に、南アフリカ産黒ブドウ500gがS$6.0(660円)からS$7.6(836円)で販売されていました。
〇白桃
この時期は少なく、オーストラリア産が1種類あるのみです。2021年12月には900gの商品がS$10.0(1,100円)だったものが、現在はS$10.95(1,204円)でした。
〇いちご
アメリカ産が425gでS$11.0(1,210円)だったものがS$17.99(1,978円)、韓国産で250g でS$7.5(825円)だったものがS$9.75(1,072円)でした。
この価格を高いと見るかそうでもないと見るかは読者の判断にお委ねしますが、シンガポーリアンの生活感覚を知る参考となれば幸いです。
シンガポール事務所 所長補佐 中村