シンガポールで生活していると、JBという単語を良く耳にします。JBとはマレーシアのジョホールバルという地名の略称で、シンガポールとの国境に位置しています。今回は、このJBとシンガポール北部のウッドランズという場所を結ぶ国際鉄道についてお話します。
JBとウッドランズは1923年以来「ジョホール・シンガポール・コーズウェイ」と呼ばれる陸橋でつながっています。(※1)マレーシア運輸相によると、通勤・通学等のためにこの陸橋を往来する人々は毎日約35万人いると言われています。移動手段は車、バス、国際鉄道になるのですが、車両交通渋滞や税関での混雑が問題となっています。(※2)空いている状態であれば数分ほどで往来可能なのですが、混雑のために1~2時間、曜日によっては3時間以上かかるという状態が常です。
この問題を解決すべく、2010年にシンガポール・マレーシアの総意で「RTS Link Project」が立ち上がりました。(※3)RTSは”Rapid Transit System(高速輸送システム)“の略称です。具体的には、2026年12月までにJBとウッドランズ間の鉄道を新たに開通させるプロジェクトで、車両による移動を減少させ、混雑の緩和をはかる効果が見込まれています。ちなみにこの鉄道が開通した場合、1時間で約1万人の乗客を運ぶことができるとされています。また、このプロジェクトの中には、鉄道のみならず、シンガポール及びマレーシアの出入国に係る審査機関(イミグレーション、関税、ICQ)を新たに、同一建物内に造設することも含まれており、混雑状況の緩和だけでなく、手続きの利便性の向上も期待されています。
なお、新しい国際鉄道は、シンガポール・マレーシア双方にとって注目のトピックなだけでなく、日本人も注目できるポイントがあります。実はこのプロジェクトの一部を日系の建設会社が受注しており、両国の発展に日本の技術が貢献しているのです。(※4)この点にも着目しつつ、今後の鉄道開通に注目していきたいところです。
シンガポール事務所 所長補佐 黒岩
(参考資料)
※1:National Library Board Singapore
https://www.nlb.gov.sg/main/article-detail?cmsuuid=74fd954b-2970-4c10-a74f-5df4c22eee28#:~:text=Background,known%20as%20the%20Tebrau%20Straits
※2:The Business Times
https://www.businesstimes.com.sg/international/singapore-and-malaysia-strengthen-ties-mou-special-economic-zone-johor-rts-link-65
※3:
The Strait Times
https://www.straitstimes.com/multimedia/graphics/2023/12/rts-link/index.html?shell
MRT CORP
https://www.mymrt.com.my/projects/rts-link/
※4:五洋建設
https://www.penta-ocean.co.jp/news/2020/201130.html