クレアは2018年10月26日から11月4日までにかけて、「日本ふるさと名産食品展 in クアラルンプール」を開催しました。この食品展は、海外展開に取り組む自治体への食品展ノウハウ及び出展事業者へのテストマーケティングの場の提供を目的に実施しており、マレーシア・クアラルンプールでは昨年度に引き続き二回目の開催となりました。その結果をご報告します。
1 会場(ISETAN The Japan Store)
昨年度に続き“本物の日本”を提供することをコンセプトにしたISETAN The Japan Storeを会場としました。
客層は中華系、富裕層が多く、若者からお年寄りまで幅広い年齢層の来場がありました。特に初日の三日間はISETAN The Japan Storeが2周年記念イベントを実施しており、食品展にも非常に多くのお客様が来店されました。
2 出展商品と気になる売れ筋商品
今回の食品展には16自治体から27事業者が出展し、様々な商品が集まりました。
その中で売上げが大きかった商品は、イートインでも提供していた「きしめん」や「かにかまぼこ」でした。特にかにかまぼこは炙り寿司として提供しましたが、バーナーで寿司を炙る「目に見える演出」が非常に効果的で、SNS用に写真を撮る方も多くいました。
また近年、健康志向の強いマレーシアならではですが、例えば黒にんにくなどは健康への効果を積極的に説明しながら試食を行うと購入につながりやすいことが分かりました。
なお、ISETAN The Japan Storeの客層は中華系が多いため、今回の食品展では厳密なハラル対応は行いませんでしたが、ハラルマークの付与されていない出展商品をムスリムのお客様が加工過程を質問したうえで購入したケースもありました。ハラル対応に限らず、出展商品のことをどれだけ「語れる」かが非常に重要です。
3 マレーシア市場におけるお酒の可能性
ISETAN The Japan Storeにはお酒の販売コーナーにカウンタースペースがあり、購入したお酒をその場で楽しんだり試飲をしたりすることができます。昨年度の食品展では平日でも多くの方がカウンターでお酒を楽しんでいた様子を見かけ、ムスリムの多いマレーシア市場においても中華系の方を中心に日本のお酒が受け入れられる可能性を感じました。そこで今回は新しい試みとして食品だけでなくお酒の出展も実施しました。
実際には、出展したお酒をただ試飲させるだけではなかなか購入に繋がらないケースが多く見受けられました。試行錯誤を繰り返した事業者がたどり着いた答えが、「このお酒に関する“ストーリー”」を説明すると購入してくれる方が多いというものです。もちろん商品の味が前提にあるのは言うまでもないですが、購入した商品について他人に説明できる「材料」を富裕層は重視しているということが分かりました。
4 B to Bの取組
今回の食品展では来場者への試食・試飲宣伝販売だけでなく、商談会やレストランメニューフェアなど対事業者への取組みも実施しました。メニューフェアでは、店舗内のレストランで出展商品を使用したオリジナルメニューを作成してもらい、商品の品質や調理のしやすさなどを評価してもらいました。今後グランドメニュー化することとなった商品もあり、一定の成果を上げることができました。
5 インバウンドを視野に入れた観光PRも絡めて
今回の食品展では物産と観光を絡めた取組みとして、会場の店舗内にあるJTBと連携し、日本との往復航空券などが当たる抽選イベントも併せて実施しました。これは食品展商品を一定額以上購入すると抽選を行える企画で、「当選して日本に行きたい!」という方が非常に多く、マレーシアにおける訪日需要の高さを感じました。
また、出展自治体のPRのため、抽選会場ではノベルティとして自治体PRグッズ(絵はがきやピンバッジなど)を準備したほか、観光パンフレットの配布や会場内モニターでの自治体PR動画の放映なども実施しました。
6 今こそASEANへ
ASEANは人口6億4千人超、名目GDP2兆7,600億USドル超という巨大な市場です。現在も着実に経済成長を続けており、今やまさに世界経済において生産・消費共に重要な地域となっています。
自治体のASEANへの関心もますます高まっており、物産販路拡大など経済活動も活発化してきています。クレアでは、今後も引き続き自治体のASEANへの販路開拓の支援を行っていきます。ASEANでのテストマーケティングとしてクレアの「日本ふるさと名産食品展」を是非ご活用ください!
■「2018年度日本ふるさと名産食品展inクアラルンプール」概要
開催期間 | 2018年10月26日(金)~11月4日(日)の10日間 |
開催場所 | マレーシア・クアラルンプール
ISETAN The Japan Store(食品売場フロア) |
主催 | 一般財団法人自治体国際化協会 |
後援 | ・在マレーシア日本国大使館 ・JETROクアラルンプール事務所
・JNTOクアラルンプール事務所 ・JAPAN FOUNDATIONクアラルンプール事務所 |
協力企業 | ・株式会社JTB |
対象者 | 一般消費者、ディストリビューター、店舗内レストラン |
出展者 | 27事業者(16自治体) |
出展内容 | ■イートイン
きしめん・かにかまぼこ・抹茶ラテ ■物販 にんにく加工品、りんご、甘藷、かにかまぼこ、味噌、七味、わさび、みりん、きしめん、乾麺、つけもの、緑茶、タコ、鯛、梅干し、ゆず加工品日本酒 等 全164品目(うち3イートイン) |
販売総額 | 約16万6千リンギット(約450万円)※(1リンギット=27.12円で計算) |