クレアシンガポール事務所は、インドネシアのジャカルタで開催された、日本政府観光局(JNTO)主催の一般消費者向け旅行フェア「Japan Travel Fair 2018」に参加し、ビジット・ジャパン・カウンターにおいてJNTOジャカルタ事務所と連携した訪日観光PRを行いました。
今回の「Japan Travel Fair」は、日本の春・夏をターゲットにした旅行フェアで、現地旅行会社による一般消費者向けの訪日旅行商品販売と、日本側出展者及びJNTOによる観光情報の発信が行われ、インドネシアの一般消費者向けにアピールする絶好の機会となりました。
当事務所職員が現場で見たインドネシアの訪日旅行市場の最新状況をレポートいたします。
主 催 | 日本政府観光局(JNTO) |
概 要 | インドネシアからの訪日旅行者をさらに増加させるため、ジャカルタ市内のショッピングモールにおいて旅行フェアを開催。
現地旅行会社が訪日旅行商品の販売を行うほか、日本の地方自治体等共同出展者が各地域の観光の魅力・情報を発信。 |
開催期間 | 2018年3月9日(金)~11日(日) 3日間 |
開催場所 | コタ・カサブランカ・モール 1階
ジャカルタ南部に位置する富裕層・中間層向けのショッピングモール。 |
対 象 | 一般消費者(B to C) |
入 場 料 | 無料 |
来場者数 | 速報待ち
※前回開催時は約51,000人(2017年8月、3日間合計) |
出展団体数 | 日本側出展団体:23団体、現地旅行会社:21社、航空会社:5社 |
インドネシアの訪日旅行者数は2017年に過去最高となる352,300人(前年同月比30%増)を記録、初めて大台の30万人を超えました。この伸び率は、東南アジア諸国でベトナム(前年同月比32.1%増)に次ぐ数字であり、今後も大きく伸びていくことが期待されます。
この背景には、経済成長による所得の増加や一定条件でのビザ免除といった理由のほかに、訪日旅行プロモーションによる東京・関西以外の観光地の知名度向上、格安航空会社(LCC)の日本発着便の増加、インセンティブツアー(報奨旅行)の増加があげられます。
【参考】インドネシアからの訪日旅客数の推移(出典:日本政府観光局(JNTO))
年 次 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 |
訪日外客数 | 158,739人 | 205,083人 | 271,014人 | 352,300人 |
前年同月比伸率 | +16.0% | +29.2% | +32.1% | +30.0% |
※インドネシアの総人口:263,991,000人
(出典:United Nations「2017 Revision of World Population Prospects」)
インドネシアからの訪問先としては、東京~京都・大阪間のいわゆる“ゴールデンルート”が主流となっており、東京ディズニーリゾートやユニバーサルスタジオ・ジャパンなどのテーマパークも依然高い人気を誇っています。
旅行の目的では、「桜」や「花」を見たいという希望が大変多く、会場にも各地域における開花時期を掲載した看板やパンフレットが設置されていたものの、旅行日程と開花時期が合致していない方が大勢いました。まずは旅行日程を決め、航空券を購入し、それから具体的な旅行内容を考えるといった流れが一般的なようで、日本の四季に関係する観光地は期間が限定されることから、より詳細な情報を提供することが必要です。
今回、一番驚いたのは、問い合わせの7割以上が「白川郷」や「飛騨高山」、「立山アルペンルート」に関するものだったことです。JNTOジャカルタ事務所によると、ゴールデンルートの次の一手ということで、北海道や白川郷、立山黒部アルペンルートを推していて、メディア広報などを積極的に展開している影響ではないかとのことでした。
また、旧宗主国のオランダに関係する場所ということで、長崎のハウステンボスに興味を示される方もいました。
【参考】問い合わせの多かった地域
地域 | 内 容 |
北海道 | 雪はもちろんのこと、食事にも魅力を感じている様子。夏の北海道や北海道新幹線でのアクセスについての問い合わせもあった。 |
東京 | ジャカルタ~東京(成田・羽田)の直行便が週35便運航されていることもあり、まずは東京を起点とした旅行計画をたてる方が多い。 |
立山 | 立山黒部アルペンルートの人気は高く、現地旅行会社のブースやパンフレットにも「雪の壁」の写真が多く使われていた。 |
白川郷
飛騨高山 |
雪景色を見たいという希望が多い。東京又は関西からのアクセスについての問い合わせが非常に多かった。 |
関西 | ナイトライフ・アクティビティが大人気。お酒は飲めないが居酒屋やクラブの雰囲気を楽しみたいという若い世代が多い。 |
インドネシアからの訪日旅行客数は順調に伸び続けています。以前であれば、物価水準の違いから一部の富裕層のみが可能でした。しかし、近年は中間層にも手が届くものになりつつあることが伺えます。
日本文化はインドネシアでも人気を集めており、日本の伝統的な文化である着物や生花、折り紙などをはじめ、J-POP、漫画、アニメなどのサブカルチャーも広く親しまれていることから、市場はこのまま順調に推移していくと考えられます。
インドネシアの国外旅行シーズンは、3~4月の桜シーズン、6~7月の学校休暇やレバラン(※)休暇、12月下旬~1月初旬の年末年始休暇であり、インドネシアからの誘客をお考えであれば、この時期に向けたプロモーションを行うのが得策です。
かつては、団体旅行やパッケージツアーが主流であったインドネシアですが、近年はFIT(Foreign Independent Tour)層を中心にインターネットによる個人予約が増加しています。インドネシアの方々が自分たちで日本を旅できるよう、自治体にはウェブサイトやSNSなどでの観光はもちろん食事や礼拝環境に関するムスリム向けの情報提供や案内が求められています。
当事務所では、引き続きJNTOと連携しながらインドネシアの訪日旅行に関する最新の動向を収集するとともに、情報発信してまいります。
※レバラン…断食明けを祝う行事。暦上の休日は2日間ですが、実際にはレバラン前後に1週間ほど休暇を取る人が多いようです。レバランは1年を概ね354日とするイスラム暦により設定されるため、西暦では毎年11日程度ずつずれていきます。