カンボジア最新状況~訪日旅行動向、経済状況を調査~

クレアシンガポール事務所は、2018(平成30)年11月9日(金)から12日(月)にかけてカンボジア王国の首都プノンペンを訪問し、「Japan Travel Fair 2018(日本観光展)」の取材を行いました。また、カンボジア王国内務省、JETROプノンペン事務所やJICAカンボジア事務所において、情報収集及び意見交換を行いました。

当事務所職員が現場で見たカンボジアの最新状況をレポートいたします。

 

1 カンボジアの訪日旅行動向~Japan Travel Fair 2018(日本観光展)

主  催 日本政府観光局(JNTO) ※カンボジアはバンコク事務所が所管
共  催 在カンボジア日本国大使館
概  要 カンボジアからの訪日旅行者数をさらに増加させるため、プノンペン市内のショッピングモールにおいて、日本の春、特に「桜」をテーマに日本各地の風景などを紹介。

JNTOによるインフォメーションカウンターが設置され、パンフレットの配布に加え、専門スタッフによる訪日旅行のアドバイスが行われたほか、和太鼓グループ“芽魂(メコン)太鼓”によるパフォーマンス、浴衣の着付けや折り紙、VRによる訪日旅行疑似体験が提供された。

開催期間 2018年11月10日(土)・11日(日) 2日間
開催場所 AEON MALL Sen Sok City グランドフロア South Court

プノンペン北部に位置する富裕層・中間層向けのショッピングモールで、AEON MALL Phnom Penhに次いで2018年6月にオープンした2号店。

対  象 一般消費者(B to C)
入 場 料 無料
来場者数 2日間合計12,516人(1日目:5,388人、2日目:7,128人)
出展団体数 航空会社:1社

 

2017年に続き2回目の開催となったJapan Travel Fair(日本観光展)ですが、カンボジアからの入国者数は2017年に18,756人(前年同月比42%増)を記録するなど着実に伸びています。

この背景には、経済成長による中間層の増加や2013年からカンボジア国内に居住するカンボジア国民(一般旅券所持者)に対する短期滞在数次ビザの発給が開始されたことが挙げられます。

しかしながら、現地旅行会社の店舗に並んでいる日本行きパッケージ旅行商品は、いわゆるゴールデンルートが中心で、価格も軒並み1,000USドル以上とまだまだ一般庶民には手が出せるものではないようです。

 

【参考】カンボジアからの入国者数の推移(出典:日本政府観光局(JNTO)聞き取り)

年 次 2015年 2016年 2017年
入国者数 11,096人 13,195人 18,756人
前年同月比伸率 +19.0% +42.0%

※カンボジアの総人口:16,005,000人

(出典:United Nations「2017 Revision of World Population Prospects」)

 

2 カンボジア王国内務省訪問

今回の出張の機会を活かし、シンガポール事務所のカウンターパートであるカンボジア王国内務省を訪問しました。

内務省はクレア事業「海外自治体幹部交流セミナー」に積極的に職員を派遣しており、本年10月に開催した同セミナーに参加した職員も今回同席してくれましたが、日本における税制度、品質管理の方法、業務効率化の方法など、学ぶものが多かったとの感想でした。内務省では、同セミナーに参加した職員を、地方自治を所管する部署に配属し、セミナー成果を活用しているそうです。地方自治体の多大な協力によって運営している「海外自治体幹部交流セミナー」ですが、カンボジアで非常に感謝され、成果を挙げていることを大変嬉しく感じました。

カンボジア政府にとって、現在の課題は行政改革、またそのための公務員の能力向上であり、日本の地方自治体の経験から学びたいとのことでした。

 

3 カンボジアの経済状況

近年、タイプラスワンの選択肢の一つとして、カンボジアへの注目が高まっています。そんなカンボジアの投資環境等について、関係機関にヒアリングを行いました。

カンボジアでは、ポル・ポト政権時の影響により、労働年齢にある人たちが十分な初等教育を受けていないケースがあり、従業員教育に時間がかかることは覚悟すべきとのことです。また、他の東南アジア各国と同様、手続や法制度の面で透明性に欠ける点が進出に当たっての課題となります。しかし、今進出する企業は、先行者利益を得ることができる可能性も十分あるとのことでした。

カンボジア滞在中、Japanese Film Festivalが開催されており、国際交流基金プノンペン連絡事務所によると、現地の人の反応は上々とのことです。街なかには日本料理店も多く、いずれも賑わっており、日本文化を好意的に受け止めていることが感じられました。現在、そのような文化に触れることができるのは中間層以上であり、今後より広い層に浸透していけば、ビジネスチャンスの拡大も期待できます。

 

当事務所では、引き続きカンボジア王国内務省や各日系関係機関と連携しながらカンボジア王国の最新動向について情報収集するとともに、情報発信してまいります。

 

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