東南アジアの中でも経済成長著しいベトナム。しかし、その結果都市化が進み、工場・住宅等の火災など大規模な災害も増加しています。
そこで、自治体国際化協会(以下、CLAIR)の「自治体国際協力専門家派遣事業」を利用して、東京消防庁の職員3名が専門家としてハノイ市消防警察局へ赴き、救助技術の研修を行いました。これは昨年に引き続き2年連続の実施となりました。当事務所からも支援を実施しましたので報告します。
2015年3月2日(月)から3月20日(金)までの約3週間、東京消防庁第九消防方面本部消防救助機動部隊嶋田消防司令、第八消防方面本部消防救助機動部隊小野寺消防司令補、菊池消防士長の3名がハノイ市消防警察局へ派遣されました。
ハノイ市消防警察局は約1,800名の職員で構成されています。ハノイ市内に13の消防署を有し、消火・救助を主な業務としています。今回の研修は、2014年10月に東京で救命救助の研修を修了した6名を指導者と位置付け、専門家は彼らが指導する内容をサポートするという形で行われました。本研修にはハノイ市管内の消防署から選抜された、救助隊員計51名が参加し、3班体制で訓練が実施されました。訓練生は、今後、派遣元に戻り今回の研修成果を消防署にフィードバックし、リーダーとなることが期待されています。
ハノイ市消防警察局での研修は昨年に引き続き2回目になりますが、昨年から成長した点が多く垣間見えました。専門家が感心していたのは研修に取り組む訓練生の姿勢、態度です。昨年はできていなかった訓練開始時間の整列、手袋や安全靴等個人装備の充実については改善が見られました。専門家からは「自分の命を守れない人間は他人の命も守れない。」というアドバイスがありました。これは技術向上同様に自分の命を守る個人装備の充実や物事に取り組む姿勢の必要性を伝えるものでした。訓練生たちは時に厳しい訓練内容にも負けない姿勢が感じられ、訓練修了後の成果が期待できるものでした。
今回研修を支援したハノイ市消防警察局の訓練生達の練習に取り組む姿勢はすばらしいものでした。専門家も昨年との違いを感じていました。継続的な指導の成果が実を結び始めていることが窺えます。
CLAIRでは今後も日本の自治体職員が有する高度な専門技術を海外で生かすことができる場を提供し、日本と海外の交流を支援していきます。
(下村所長補佐 愛知県田原市派遣)