クレアシンガポール事務所は2016年1月4日から9日にかけてタイ・スコータイ県の要請により、自治体国際協力専門家派遣事業を実施しました。
自治体国際協力専門家派遣事業は、日本の地方自治体と海外の地方自治体の友好協力関係を強化するため、日本の自治体職員を現地に派遣し、講義や実技を通して日本の地方自治体が持つ行政のノウハウを伝える事業です。
自治体国際協力専門家派遣の詳細についてはこちら↓
http://www.clair.or.jp/j/cooperation/special/index.html
スコータイ県は、タイ北部に位置する人口60万人の都市で、タイ族による最初の王朝とされています。また、スコータイ県には、1991年にユネスコの世界文化遺産に登録された歴史公園をはじめ、200以上の遺跡があります。
スコータイ県は、総面積11,312千平方メートル、うち6,008千平方メートルが貯水池として区画されている、「トゥン・タレイ・ルアン」という人工の島と湖からなる地域を造成しました。この貯水池は、約3,240万立方メートルの量の貯水ができ、県内の農業地への灌漑用池としてのみならず、県内を跨るヨム川の氾濫を防ぐ役割も果たしています。また、島と湖がハート型をしているため新たな観光地として期待されるほか、サッカースタジアム、ゴルフ場、サイクリングコース、植物園なども整備されています。同県はこの地域を観光地、環境保全のためのスマートシティとして開発する計画を策定しており、今回、この分野に関する専門家として、名古屋市区画整理課の職員、服部氏を派遣することとなりました。
専門家は、「トゥン・タレイ・ルアン」地域、電力会社、バスターミナル、浄水場、農地などの現場視察やヒアリングを行い、スコータイ県に対し次のようなアドバイスを行いました。
・同県は気温が高いため、庁舎や公共施設などの大きな建物で断熱性の高い素材を使用した整備が有効であること
・同県は地価が安く、太陽の位置が高く、晴れの日が多いので、設置・修理コストが安い、発電効率の低い太陽光パネルを使用しても設置枚数を増やすことで環境エネルギーの確保が可能であること
・生ごみの処理に伴うバイオマス発電などのエネルギーにも注目すること
・観光地への公共交通機関によるアクセス手段を確保し、レンタルサイクルなどの利用を促進して移動手段の低炭素化を図ること
・同県は、多くの遺跡があるほか、主産業が農業であるため地元の食材が多くあり、その食材を販売する活気ある市場など観光客を呼び込む魅力が多くあるが、その魅力の情報の発信が足りていないため、情報発信について強化すること
2015年1月に実施したスコータイ県の観光振興のための鳥取県職員の専門家派遣事業については、その後、博物館、ホテル、レストランなどのスタッフへの研修が実施されており、今回訪問した際には、博物館の職員については同県の歴史について詳細に説明ができ、ホテルやレストランのスタッフについては丁寧な接客が実施され、観光地として着実におもてなしの力をつけていました。
今回の事業によってスコータイ県は今後どのようなスマートシティになっていくのか、「トゥン・タレイ・ルアン」という新たな魅力が加わるスコータイ県に、日本の地方自治体の皆様もぜひご注目いただき、スコータイ県へご連絡の際はクレアをご活用ください。
(梅澤所長補佐 長崎市派遣)