東京消防庁職員がブルネイでの防火管理セミナーの講師に

ブルネイ内務省消防救助局の要請を受けて、2016年2月16日~18日に消防・防火管理に関する専門家として東京消防庁職員が派遣され、ブルネイの公的機関関係者に対して講義を行いました。また、ブルネイの消防署の状況等も視察し、関係する職員に対して、谷部専門家からアドバイスされました。

1.ブルネイの防火管理事情

ブルネイでは建物の防火管理に関する法律がなく、これまで、他国の規則を参考としたガイドラインのみで防火管理の指導を行っていました。2016年2月現在、この状況を変えるべく、ブルネイ消防救助局は国会へ法案を提出しており、防火管理の法的な規制を目指しています。
ブルネイ消防救助局では、2014年にも専門家派遣事業により専門家が派遣されており、当時は防火管理マニュアルの作成に向けたアドバイスが専門家からなされています。(参照:https://www.clair.org.sg/j/specialist/201402-bn_specialist_dispatch_project_2013/

2.休憩時間も活発な交流

専門家からは、日本の防火管理に関する法律や法制度、建物が適法であるかを査察する時のポイント等について講義されました。参加者からは、防火管理上の違反があった場合における罰金を課すまでのプロセスや、障がい者の入居する施設に関しての法律があるか、消防法の改正頻度はどのくらいか等の質問がありました。これらの質問は講義の質疑応答の時間だけではなく、休憩時間にも寄せられました。関係者が専門家と距離を縮めて話せる状況を作ることも、より充実した成果に繋がります。

3.水上集落の消防署

ブルネイでは、約2,400世帯が水上集落で生活をしていますが、水上集落で火災が起きた場合、風や立地の関係で消火活動が困難であるそうです。2015年は15件、2016年も既に3件の火災が水上集落で発生しています。そのため、建屋の一部が水上に立っている水上消防署があり、消防ボートも配備されていました。専門家からは隅田川にも水上消防が配備されていると日本の状況が紹介されました。

4.女性職員のみの消防署

イスラム教を信仰する市民の中には、自分の妻が他人の男性に救助されることを嫌う男性もいるため、職員が女性のみの消防署が設置されていました。緊急事態には、男性の消防員も女性を救助しますと話していましたが、日本の事情とは異なった宗教上の配慮がなされていました。

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(太田所長補佐 浜松市派遣)