フィリピン リブホ市で専門家派遣事業を実施

2019年11月30日から12月8日まで、奈良県地域振興部観光局観光プロモーション課の元職員が、フィリピンのディナガット・アイランズ州リブホ市で観光振興に関する講義を行いました。これは(一財)自治体国際化協会が行う専門家派遣事業の一環として行われたものです。

リブホ市はフィリピン南部ミンダナオ島北東沖にあるディナガット島にある自治体で、人口は17,500人です。リブホ市が属するディナガット・アイランズ州の中では最も豊富な観光資源を有する自治体として位置付けられています。しかし、それらの資源が十分に活用されているとはいえず、また、観光による収益を自治体や市民の収益の増加に繋げる仕組みが無く、一部のリゾート施設のオーナーだけが利益を得ている等の課題がありました。

講義では5ヵ年観光振興計画の策定、観光関連商品の造成、ブランディング戦略の策定といったテーマを扱い、市長・議員をはじめリゾート施設のオーナーや市民団体関係者ら30名強が連日参加しました。講義は座学とグループワークの形式で行われ、座学では専門家から5ヵ年の観光振興計画の策定の方法やSNSを活用したマーケティング、日本の先進事例の解説等が行われました。グループワークでは参加者間で活発な議論が行われ、観光地への入域税に相当する制度の導入や地域資源を活用した新たな観光商品の造成等、具体的なアイディアが生まれました。

講義の合間に行われた宿泊施設やビーチ、洞窟などの主要観光地等の現場視察では、講義に必要な情報収集を行うとともに、いくつかの地区の住民との意見交換を行いました。その中で、現地の当たり前の暮らしが外国人にとっては貴重な体験になるという視点が欠けていることが明らかになりました。専門家が具体的な観光商品例を挙げつつその重要性を訴えることで、指摘された当初はピンと来ていない様子だった現地の方々から共感を得ました。

近年、フィリピン政府は雇用増加や外貨獲得につながる観光分野の発展に注力しています。しかしながら、リブホ市のような地方部では観光資源は充実しているものの、それを活用する予算・人材・ノウハウが不足しているのが実情です。リブホ市の方々が専門家からの提言を活かし、今後どのような観光振興施策を行っていくのか、これからの取組に注目したいと思います。

■派遣概要

派遣先国・自治体

フィリピン ディナガット・アイランズ州リブホ市

派遣期間

2019年11月30日~12月8日【9日間】

※講義は12月1日~12月6日まで

専門家

奈良県地域振興部観光局観光プロモーション課元職員

指導内容

観光振興

講義内容

①   5ヵ年観光振興計画の策定

②   観光分野における投資・雇用機会の創出

③   ツアーパッケージの作成

④   観光関連商品の造成

⑤   ブランディング戦略の策定

専門家派遣事業について

http://www.clair.or.jp/j/cooperation/special/index.html

 

印刷用のPDFはこちら