2018年10月2日(火)から3日(水)まで、愛知県市町村職員がシンガポールを訪問し、市町村の施策展開に活かすため、海外の優れた施策や事例を学びました。クレアシンガポールでは、この海外研修活動に同行支援をしましたので、その一部をご紹介します。
Our Tampines Hubは限られた国土において、資源を有効活用するために様々な機能を持つ施設が統合された、まさに地域コミュニティの“ハブ”(中心)としての役割を果たす施設です。各区域にあったCC(コミュニティクラブ)を統合する形で、2018年8月に移転してきたばかりということでしたが、行政機関・スポーツ施設・エンターテイメント施設・飲食施設に至るまで、あらゆることが、この施設内で完結出来るようになっています。施設内の見学に先立っては、運営を担っている方々にブリーフィングを行っていただき、ライフスタイルが違う住民に配慮し、皆が楽しめるようなアクティビティを行っていることなどの説明を受けました。参加者からは統合した施設は今後どのように活用されるのかなど、積極的な質問が出されていました。
Harmony in Diversity Gallery (民族融和ギャラリー)は、多民族・多宗教がともに生活するシンガポールにおいて、いかにして多様性が保たれてきたのか等について学ぶことのできるギャラリーです。何の苦難もなく今のシンガポール社会が実現されたわけではなく、過去に起きた民族対立に起因する暴動や、人種的な問題が根底にある裁判記録の話など、過去の歴史を乗り越え、いかに宗教・人種を超えて同じシンガポール人として調和を実現したかというガイドの方の話に、参加者は一様に聞き入っていました。
URA City Galleryはシンガポールの都市計画について、国全体の模型等を見ながら学べる施設です。シンガポールがいかに持続可能な都市づくりに取り組んできたか、また、外観はリノベーションを行いながら、歴史的な建物を保全するなど、歴史を守ることと住みやすさを共存させていることなどについて、ガイドより説明を受けました。各自治体においても持続可能な社会づくりが重要視される中、学びのある見学となりました。
シンガポールボタニックガーデンでは、「City in the Garden」の戦略の基、人と自然の共生に取り組んできました。園の方からのブリーフィングでは、シンガポールでは200万本の木がモニタリングして管理されており、豪雨・強風の際の影響のチェックなども適宜行われることや、動物の生息状態についてもカメラで監視してチェックされていることなどの説明があり、シンガポールならではの最新技術を活用した管理方法に参加者も感心していました。
この他、愛知県市町村振興協会は2班に分かれ、A班がシンガポール、ベトナム、B班がシンガポール、マレーシアを訪問しました。海外では、「日本と違うから参考にならない」ではなく、「どこが活かせるか、使えるか」を感じとるセンスや姿勢が大切です。今回の訪問団は、帰国後も訪問先と情報交換を継続しています。訪問はきっかけでしかなく、相手方と関係を保つことで、海外研修のアウトカムが現れます。
複数の市町村職員が参加するこの取り組みを継続することで、海外自治体を含めた異なる組織間での連携を促進し、基礎自治体から新たなイノベーションを起こすことが求められます。