2018年2月12日、ミャンマー第二の都市マンダレーにおいて、宮崎県延岡市とマンダレーの経済交流イベント「ノベオカフェセミナー」が開催されました。
日本の自治体とミャンマーの地方都市の先駆的な交流事例であるため、当事務所は、マンダレーを訪問し、イベントの様子を取材しましたので、以下のとおり報告します。
宮崎県延岡市とマンダレーの交流は、2014年1月に延岡市内企業の有志がマンダレーを訪問したことから始まりました。この訪問の際に交流したのが、日本のODAの一環で、日本政府、JICA、ミャンマー商業省、ミャンマー商工会議所が共同で設立したミャンマー日本人材センター(MJC)で日本の経営を学んだ卒業生の方々でした。当時、ミャンマーとしては、日本からの訪問者は多いものの一過性の交流にとどまり、メリットを感じられないケースが多かったため、延岡市に対して一歩踏み込んだ交流をしたいとの打診がありました。それに延岡市が応える形で、同年10月にMJCの卒業生15名を延岡市に受け入れ、インターンシップやホームステイなどを通して、より絆の深い交流に発展していきました。
このような交流を進める中で、延岡市商工会議所を中心とした「延岡・ミャンマー友好会」が設立されました。
その後も延岡市とマンダレーの交流は拡大し、2016年11月には、MJCで日本経営を学んだ研修生の同窓会(MABA)のメンバーによって、ミャンマーにおける初めての日本の自治体の情報発信拠点である「ノベオカフェ」が開設されました。ここは延岡市などの企業情報やマンダレー地域の情報発信を行うとともに、ビジネスマッチングの場としても活用されています。
このたび開催されたノベオカフェセミナーの式典では、ミャンマー側からマンダレー行政管区知事、ミャンマー商業省副大臣、ミャンマー商工会議所連合会頭が参加され、延岡市との交流に対する期待がうかがえました。
また、今回の訪問団を代表して挨拶された延岡・ミャンマー友好会の清本会長は、「2014年1月にマンダレーを訪問して以降、多くの方に延岡を訪問していただき、延岡の良さを知っていただいた。今後もさらなる経済交流の促進につなげていきたい。」と力強く挨拶されました。式典終了後には、延岡市の訪問団の中の4つの事業者がMJCの卒業生やMABAメンバーに対して、自社の事業内容等のプレゼンテーションを行いました。その中では「CADが使えるエンジニアでモノづくりに関心がある人を雇いたい」といった、より具体的な提案をされる企業もあり、参加者が真剣に話を聞いている様子がうかがえました。
また、プレゼンテーション後は、会場を変えて商談会が行われ、多くの参加者が各企業担当者と商談を行ったり、自身の技術を売り込んだりと活発な意見交換が行われました。さらに、隣接する会場では、日本・マンダレー祭りが盛大に開催されており、ステージ上では、生け花や延岡のばんば踊り、ミャンマーの伝統的な踊りなどが披露され、多くの来場者がお互いの文化を知り、今後の交流の拡大に期待を高めていました。
延岡市とマンダレーの経済交流は、海外に活路を見出そうとする延岡市と技術支援や投資を期待するミャンマーのニーズが合致し、お互いにとってウィン・ウィンの関係を築こうとしていることが、ここまで深く交流が進んでいる要因であると言えます。
今後も延岡市とマンダレーの交流がさらに発展し、ミャンマーのみならず、各国の地方レベルでの経済交流を進める際のモデルケースとなることが期待されます。
(古谷所長補佐 山口市派遣)
(上谷所長補佐 宮崎県派遣)