兵庫県では、県産食品の輸出促進を図るため、県事務所を有する香港に加え東南アジア、欧州、中東市場へと対象エリアを拡大して輸出プロモーション事業を実施しています。
シンガポールでは、日本語スピーチコンテストの会場となった施設内での知日派・親日派に向けたPR等が行われ、シンガポール事務所では同行及びPR支援等を実施しました。
コウノトリの野生復帰に取り組む兵庫県但馬圏域の自治体では、安全でおいしい農産物と多様な生きもののエコシステムを同時に育む「コウノトリ育む農法」を推進しています。さらに、グローバルGAP(国際的な農産物生産工程管理の格付け基準)の認証取得も支援し、県産食品のブランド力強化による海外販路の拡大に力を入れています。
今年7月より、このグローバルGAP認証を取得した「コウノトリ育むお米」の販売が国内外で初めてシンガポールで開始され、7月7日(土)と8日(日)に現地の日本人会施設内でJAたじまと兵庫県が連携して試食販売を実施しました。
価格は同店頭に並ぶ他の日本米のほぼ2倍に設定されましたが、商品の背景にあるストーリーや無農薬の健康的な日本米としての特長をうまく伝えることで値段を見ずに購入する来場者も相次ぎ、販売上のコツや課題も含め一定の手応えを得ることが出来たようです。
試食販売の前日となる7月6日(金)、シンガポール日本人小学校クレメンティ校にてJAたじま職員を講師として「コウノトリ育む農法」の講演が行われ、同校の日本人児童及び現地校のシンガポール人児童、あわせて約200人が参加しました。
都市国家であるシンガポールで生活する児童は農業に触れる機会に恵まれていないため、食と農、自然環境との共生、環境と経済が共鳴する持続可能な地域づくり等について考える貴重な機会となったようです。
講義後には炊きたての試食が振舞われたほか、家庭に帰ってからも話題にしやすいように大人向けのパンフレット類も配布されました。
試食販売の2日目となる7月8日(日)の会場施設内では、シンガポール人による日本語スピーチコンテストの決勝が、大使館をはじめ星日文化協会やシンガポール日本人会等の共催で行われました。
表彰式後のティーレセプション会場では、今回のプロモーション食品である兵庫県産「黒豆茶」や「なた豆茶」を提供したほか、受賞者への副賞にホームステイを提供した自治体のひとつとして情報発信コーナーを設け「コウノトリ育むお米」のPRも実施しました。
試飲をした来場者からは「香ばしくて味わい深い」、「健康に良いのが実感出来る」、「どこで買えるのか」といった声が寄せられ、テスト販売店頭への誘導に奏功したケースもありました。コンテストのスポンサーとして来場した日本食材専門店幹部へも良いアピールとなり、民間事業者に委託している今後の営業活動に向けた足掛かりにもなったようです。
今回、食品PRのため来星した兵庫県職員は、「来県するホームステイ受賞者に食品の産地を実際に訪れていただき、感想を現地の若者目線で発信して欲しい」と、期待を述べました。
地域と地域、人と人との交流で生まれる様々な機会を観光や物産など地域の魅力発信にもつなげる自治体の取り組みが、今後も注目されます。