2018年7月16日(月)、17日(火)、鹿児島県錦江町の三反田みどり副町長が、同町のお茶の輸出可能性を探るために来星され、クレアシンガポール事務所は、ブリーフィングと視察先の同行を行いました。
鹿児島県は、お茶の生産量が全国第2位です。大隅半島の南端に位置する錦江町は、その名のとおり、錦江湾に面した温暖な風土を生かして、日本で一番早く新茶が採れる産地です。中でも、香り高い上質な深蒸し茶の生産が盛んで、地名から大根占(おおねじめ)茶として、全国にその名が知られています。
クレアでは、シンガポールの概況等のブリーフィングを行い、同町の産業支援の取組なども交えて、意見交換を行いました。副町長は、今回の来星に合わせて、錦江町のお茶を紹介するチラシを自ら英語で作成するなど、視察にかける熱い思いも感じました。
代表的な日系スーパーである伊勢丹の市場視察では、日本食品とお茶の流通状況について話を聞きました。シンガポールは、アレルギー表示等の義務がなく、日本に比べると小売がしやすい状況であること、また、お茶では特にジャスミン茶が人気で、日本産だと静岡茶、佐賀県の嬉野茶も名前が浸透していて、抹茶のニーズも高いと聞きました。また、最近のヘルシー志向の高まりで、砂糖の入っていない日本のお茶に関心が高まっているが、大手メーカーがシェアを占めていることもあり、ブランド価値を打ち出して、差別化をどう図っていくかが重要、とのアドバイスをもらいました。
また、JETROシンガポール事務所では、日本茶の輸出状況の動向等について話を聞き、意見交換を行いました。当地の日本食品市場は既に成熟しており、日本食レストランも約1,200店あることから、日本食、日本食材のプレゼンスは大変高いですが、日本からの輸入量はわずか約2.6%に過ぎません。そのような中で、日本茶の海外進出においても、いかに戦略を立ててマーケティングを行うか、現状を深く認識することができました。
さらに、既にシンガポールやタイで販路開拓に成功している静岡県東南アジア駐在員事務所では、レストランシェフとタイアップした商談イベントや、県産品を海外展開するために設立された地域商社との共同した取組など、大変参考になりました。
生産農家の高齢化や後継者不足は、日本の様々な自治体が抱える共通の課題でもあります。錦江町も例外ではなく、生産農家を守り地域産業を発展させていくために、試行錯誤しながら海外市場を開拓する難しさとともに、新たな市場へ向けた多様なアプローチの取組など示唆に富む視察となり、今後の販路開拓が望まれます。