クレアシンガポール事務所では、地域の国際化に貢献できる人材を育成すべく、職員の資質向上のための様々な研修を実施しています。
人口減少による国内市場縮小を背景に各自治体が海外に目を向け、中小企業の海外販路開拓を中心に支援を行っている中、海外販路開拓の実務に関する知識・スキルも海外勤務経験のある職員に求められる資質の一つであるとの認識のもと、2021年1月12日に「日本産食材輸出拡大の為に~ターゲット商品の選定から物流設定までの流れ~」を演題に、シンガポールでスーパーマーケットと飲食店を経営している講師を招き、研修を開催しましたので、その内容の一部を紹介します。
なお、今回は新型コロナ感染拡大防止に係る規制により、職員が実際に集まることができず、オンラインで実施しました。
(1) 目的
「海外進出検討中の企業に的確なアドバイスを与えられるようになること」を研修の目的としています。
(2) 講師
SAKURAYA FOODS PTE. LTD.
Chief Operating Officer 岩下 順二 氏
まず講師より、電子商取引や日系スーパーのシンガポール進出が活発となるなか、継続して販売している商品が少なく、商品選定の議論ができていなかったのではないか、という問題提起がされました。
そのうえで、商品選定に必要な考え方として
①作った商品を売ろうとするプロダクトアウトではなく、お客さんが求めている物を売るマーケットインが重要であり、売れ筋商品との共通点を突破口にすること
②高額なこだわりの商品ではなく、たくさん売ることができるボリュームゾーンを取れる商品を選定すること
③輸出を日本のマーケットに出す製品の数量調整(バッファー)として捉えないこと
という三点が指摘されました。
その後、食材等輸出の実務について、日本の製品は品質が良ければ高くても売れるという時代ではないことが、実例を交えて説明されました。
研修に参加した職員からは「マーケットインの重要性と、それらを満たせば中小規模の食品関連会社でも海外で販路を開拓できるという点が印象深かった」「売れ筋商品との親和性を念頭に置くこと、品質と価格はトレードオフではないことが最も印象に残った」といったコメントがありました。
クレアシンガポール事務所では、派遣元に帰任した後も見据えた職員の資質向上に取り組んでいくとともに、事業者を含めた現地の声をお届けできるよう努めてまいります。
(今井所長補佐 北海道池田町派遣)